2015 年度 慶応義塾大学 法学部 (論述力) 全体概況 試験時間 大問数・解答数 難易度の変化(対昨年) 大問数: ○ 難化 1題 ○ やや難化 解答数: ● 変化なし 問題の分量(対昨年) ○ 多い ● 変化なし 出題分野の変化 ○ あり ● なし 出題形式の変化 ○ あり ● なし 新傾向の問題 ○ あり ● なし 90分 1問 ○ やや易化 ○ 易化 ○ 少ない 総評 課題文は生物多様性を題材にして、「関係価値」の重要性を論じたものである。生物多様性という概念 が現代の環境問題の中心的アジェンダとして、「生物多様性条約」という国際的レジームを手に入れた が、生物多様性は誰のものかが不明瞭なままになっているという問題点と、生物多様性における地域の 役割が曖昧にされているという問題点の2つを提示している。その上で、生物多様性の保全と利用の主 体は地域社会であるから、グローバルな問題としての生物多様性については地域社会のつながりが重要 になるので、新たな価値としての関係価値が重要になる、という主張をしている。文章は読みやすく、 主張内容をつかむことは難しくない。今年度は設問で「筆者の議論を400字程度でまとめ」よという 指示がされていた。課題文には「グローバルな市場」対「グローバルな公共性」 、 「交換価値」対「使用 価値」 、 「グローバルな世界」対「ローカルな地域社会」という明確な対比が示され、しかもそれぞれ前 者が優位にあるという現状が示されており、これらの対比項目どうしの関連性をつかんで、課題文全体 から浮かび上がる問題を明確につかみとれるかどうかがまとめにおいては重要になる。また「関係価値」 の論考においては、そこでつかんだ問題が関係価値という概念によってどのような方向に向かう可能性 があるのかをよく考えて示すことが必要になる。今年度は「具体例をあげながら」という指示があるの で、どのような例をあげるか、という点も重要になる。 Copyright (C) 2015 Johnan Prep School
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