No.2015-027 2015年3月6日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp 南ア復調 ~ 内外需増 ~ (1)南ア経済が復調。昨年1~3月、実質経済成長率は大規模ストにより季調済前期比年率ベースで ▲1.9%のマイナス。スト終息に伴い4~6月以降、0.5%、2.1%、4.1%と期を追って成長加速。 主要業種別にみると、10~12月は寄与度+1.1%の鉱業と製造業が最大の牽引役。工業生産、鉱業 生産とも昨夏を底に増勢回復(図表1)。工業では石油精製や鉄鋼、自動車が、鉱業はプラチナ やクロムが増加の原動力。景況好転を受けて、企業マインドが改善。昨春から年末まで一進一退。 本年に入り、とりわけ2月大幅上昇。13年2月以来、2年振りの水準に。 (2)輸出は月次変動が大きいものの、昨年8月を底に9月から増勢復帰(図表2)。品目別には鉄鋼 や貴金属に加え自動車が大幅増。輸出台数は季調済年率で昨年5月19.8万台を底に増加。本年2月 は33.9万台。ほぼ既往最多水準。輸出動向を相手国別にみると、従来同様米欧に加え、インドや サウジアラビア、さらにモザンビークやザンビア、ボツワナなど、周辺の新興諸国向けが増加。 自動車など機械機器を中心に周辺エリアの生産拠点化が進行。 (3)建設許可金額をみると、非住宅や改修は頭打ちながら、住宅が一昨年末以降、ほぼ月を追って 増加(図表3)。エリア別には、首都圏のハウテン州や西ケープ州など都市部が中心。実質小売 売上は一昨年末から昨年央まで一進一退の後、昨夏から増勢。品目別には住宅増を映じた塗料や ガラスなど建材関連、医薬・化粧品、衣類・履物が好調。 (4)景気回復を反映し雇用情勢改善(図表4)就業者数は昨年10~12月、一昨年央来の伸び悩みを 脱して、力強い増加。労働力人口の増加を上回り、失業者数が減少。先行き懸念の後退に伴い、 消費者信頼感上昇。サブサハラが実質5%前後の成長を続け、周辺各国向け輸出の一段の増加が 見込まれるなか、底堅い消費も加わり、同国経済は実質2~3%成長に復帰の公算大。 (図表1)南アの企業信頼感と鉱工業生産、発電量 94 企業信頼感指数 工業生産 (2013年 発電量 =100) 鉱業生産 (2010年=100) 93 (図表2)輸出入金額と実質輸出入(季調済) 104 140 132 102 124 120 (2013年=100) 輸入金額(左目盛) 実質輸入(〃) 輸出金額(右目盛) 実質輸出(〃) (2013年=100) 110 92 100 100 116 91 108 90 98 100 89 92 90 80 96 88 70 84 94 76 2012 15 (年/月) 87 0 2013 14 (出所) SSA など (注) 季調済。企業信頼感指数のみ左目盛。 50 44 (10億ランド) 実質小売売上(右目盛) 建設許可金額(住宅、左目盛) 〃(非住宅、〃) 〃(改修など、〃) 14 15 (出所) Statistics South Africa など (図表3)実質小売売上と建設許可金額(季調済) 56 60 13 (年/月) (図表4)雇用情勢と消費者信頼感(季調済) (2010年=100) 12 (10万人) 12 118 116 38 114 32 112 26 110 20 108 14 106 失業者数 労働力人口 非労働力人口 就業者数 消費者信頼感 8 (ポイント) 8 4 4 0 0 ▲4 ▲4 104 0 ▲8 8 2012 13 14 (出所) Statistics South Africa ▲8 2011 (年/月) 12 13 14 (年/期) (出所) SSA (注) 消費者信頼感以外は対2012年1~3月差、左目盛。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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