No.2015-042 2015年4月10日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp バングラデシュ再加速 ~ 輸出増で生産増 ~ (1)バングラデシュ経済が成長軌道復帰(図表1)。ラマダン明けの連休をはじめ、宗教上の 祝日が年によって異なる結果、季節調整が歪み、月次変動が残るものの、趨勢的にみれば、 2013年初来の一進一退から、工業生産は昨春来、電力は昨秋以降増勢復帰。景況と連動する 税収は昨年末一段と増勢加速。原動力は法人・個人所得税と付加価値税。経済活動の活発化 を示唆。 (2)主要業種別にみると、昨年央来の生産増は医薬品と食料品が牽引役(図表2)。昨年7~9 月と10~11月の前年比寄与度をみると、医薬品は7.3%から5.4%、食料品は5.9%から4.8%。 直近値昨年11月では医薬品のうち薬剤が前年比71%増。食料品では硬化油が同69%増、小麦 粉など穀物粉が同45%増。経済成長に伴う所得増と中間層の拡大で後発薬など医薬品需要、 および食品需要が盛り上がり。もっとも、両業種以外での生産増は限定的。 (3)一方、輸出をみると、13年末から14年央にかけて一進一退の後、昨秋来、増勢(図表3)。 品目別には従来同様、既製服や縫製品が増加。国別には欧米に加え、中国やインド、ロシア、 さらに東南アジアや中東など近隣新興国向けが増加。輸入は昨年央以降、緩やかな増勢持続。 品目別には資本財に加えて、スマホやタブレットなど通信機器、プラスチック製品、さらに ガソリンなど石油製品が増加。国別にはインドや中国が増加。底堅い内需を示唆する動き。 (4)小売統計は未整備。そこで自動車販売台数をみると、昨年大幅増(図表4)。乗用車は13 年の前年比微減から14年は2.9万台、同22%増。商用車も13年の前年比微減から14年2.3万台、 同じく同22%増。自動車増でガソリン輸入増。周辺各国をはじめ新興国が総じて堅調な成長 を続けると見込まれるなか、同国経済は輸出主導型成長を持続する公算大。 (図表1)バングラデシュの税収と鉱工業生産(季調済) 130 (図表2)主要業種別工業生産(前年比寄与度) 8 (2013年=100) (%) 税収 鉱工業生産(製造業) 鉱工業生産(鉱業) 鉱工業生産(電力) 120 増減(①-②) 2014年4~6月 2014年7~9月(②) 2014年10~11月(①) 6 110 4 100 2 90 0 80 ▲2 70 0 2012 13 14 (年/月) (出所) Bangladesh Bureau of Statistics (出所) Bangladesh Bureau of Statistics (図表3)輸出入金額と実質輸出入(季調済) (図表4)自動車販売台数 160 (2013年=100) 30 (千台) (2013年=100) 輸入金額(左目盛) 実質輸入(左目盛) 輸出金額(右目盛) 実質輸出(右目盛) 150 140 120 26 商用車 乗用車 110 22 130 100 18 120 90 110 80 14 100 70 10 90 80 60 2012 13 14 (出所) Bangladesh Bureau of Statistics など 15 (年/月) 6 2005 06 07 (出所) OICA 08 09 10 11 12 13 14 (年) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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