No.2015-033 2015年3月20日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp インド生産増 ~ 原油安で輸出入減 ~ (1)インドの生産が増加(図表1)。鉱工業生産は昨年10月大幅減。ヒンドゥー教の新年を祝う ディーワーリーの連休が2013年の11月から14年10月に。11月の生産増は10月の反動増の可能性。 12月は前月比▲0.3%。月毎の振れはあるものの、昨春から昨年末まで生産は一進一退で推移。 本年1月は昨年比休日増のなか同1.0%増。景気復調の兆し。しかし、輸出入金額は昨年末来、 大幅減(図表2)。輸出は同国でも経済成長の牽引役。輸入は総じて景況に連動するだけに、 大幅減は一般に景気減速を示唆。今後の行方をどのようにみるべきか。 (2)本年2月、輸出金額はドル建て前年比で▲15.0%、輸入金額は同▲15.7%のマイナス。主要 品目別に寄与度をみると、輸出では石油製品が▲10.0%と際立って大幅減。次いで油粕と食肉 がそれぞれ▲0.6%、宝石・貴金属▲0.5%、鉄鉱石▲0.3%など。一方、輸入では原油・石油 製品が▲22.6%。大幅な原油価格下落が輸出入金額減少の主因。製品類では、輸出が既製服や 敷物で増加。輸入では一般機械や電気機械、電子機器、輸送用機械が増加。 (3)昨年7月から休日要因で大幅に生産が落ち込んだ10月、その反動で増えた11月と12月、本年 1月に分けて主要業種別に工業生産をみると、本年1月、財別には資本財が増加。投資増を示唆。 品目別には金属、電気機械、スマホなどの通信機器が原動力(図表3)。普及クラスを中心に 一昨年末、携帯電話市場が再び盛り上がるなか、生産強化の動き。設備投資の先行きを左右す る外資動向をみると対内直接投資は昨年初来、高水準で推移。昨年10~12月は76億ドル。対内 証券投資も62億ドルと堅調。加えて利下げ。インフレ圧力が後退(図表4)。原油安を受けて 卸売物価は昨年8月をピークに下落。消費者物価もピークアウトの兆し。異常気象で大幅に値 上がりした食料品も昨年末から値下がり。今後、一段のインフレ圧力後退でさらなる利下げが 視野。このようにみると、同国経済は実質8%前後の高成長持続の公算大。 (図表1)インドの鉱工業生産(季調済) (図表2)貿易収支と輸出入金額(季調済) 108 116 106 20 (10億ドル) (2013年=100) (2013年=100) 鉱工業 鉱業 製造業 電力 貿易収支(左目盛) 輸出金額(右目盛) 輸入金額(右目盛) (10億ドル) 112 104 108 102 104 100 100 98 96 15 45 41 10 37 5 0 33 ▲5 29 ▲10 96 92 94 0 25 ▲15 88 ▲20 2013 14 (出所) MOSPI 15 (注) 製造業と電力のみ右目盛。 14 15 (出所) Department of Commerce (図表3)主要業種別工業生産(季調済) 0.8 (年/月) (図表4)卸売物価と消費者物価(前年比) 124 15 (ポイント) 0.6 21 2013 (年/月) (%) (2014年7~9月 =100) 112 12 0.4 100 0.2 0.0 88 ▲0.2 ▲0.4 ▲0.6 寄与度(①/②、左目盛) 2014年7~10月(右目盛) 2014年11~12月(②、右目盛) 2015年1月(①、右目盛) 76 9 6 3 卸売物価 消費者物価 0 64 ▲3 2011 (出所) MOSPI 12 (出所) MOSPI 13 14 15 (年/月) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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