インドネシア輸出入減-内需堅調(PDF:238KB)

No.2015-024
2015年2月27日
≪藤井英彦の
藤井英彦の視点≫
視点≫
http://www.jri.co.jp
インドネシア輸出入減
~ 内需堅調 ~
(1)インドネシアの貿易取引が大幅減(図表1)。とりわけ輸入金額は昨年10月前年比▲2.2%の
マイナスに転じた後、月を追って減勢加速。本年1月は同▲15.6%。一方、輸出金額も昨年10月
同▲2.2%のマイナスに転じ、11月同▲14.6%、12月▲13.6%。本年1月は同▲8.1%と、減勢が
鈍化したものの、依然大幅。一般に輸入は景況に連動。同国経済をどのようにみるべきか。
(2)GDPをみると、昨年10~12月の実質財輸入は前年比3.1%増。原油天然ガスとそれ以外に分け、
寄与度をみると、それ以外は+0.9%、原油天然ガスが+2.2%。原油をはじめ輸入価格の低下が
輸入金額減少の主因。月次の輸入数量をみると、月次変動が大きいものの昨年7月を底に増勢。
財輸出は昨年10~12月同▲5.0%。同様に二者に分けると前年比寄与度は原油天然ガス▲0.8%、
それ以外が▲4.3%。原油や天然ガスは国内需要増で輸出余力が低下し輸入増。それ以外では、
自動車は増加したものの、パーム油や野菜などの農産品、衣類、履物など軽工業品が減少。
(3)しかし鉱工業生産は昨年10月を底に11、12月と2ヵ月連続増(図表2)。断食明けの連休が
2013年の8月から14年7月となり、7~9月の季節調整に歪み。均してみれば、9月から増勢復帰。
7~10月と11~12月の生産を主要業種別に対比すると、幅広い業種で増加(図表3)。減少は
印刷や電気機械、紙製品など限定的。とりわけ一般機械や食品が大幅増。金属製品や基礎金属、
自動車も増加。輸出減品目のうち、衣類は若干の増加ながら、履物が含まれる皮革は昨春来、
大幅増。改めて小売売上をみると、均してみれば昨夏来、力強い増勢回復。本年1月既往最多。
品目別にはスマホやタブレットなどの通信文具や食料飲料が好調。所得雇用環境改善で消費者
心理も高水準。輸出減と重ねてみれば、内需増で輸出余力が低下した可能性大。加えて、設備
投資の行方を左右する外資動向をみると、対内直接投資が引き続き高水準(図表4)。輸出入
減少に対する過大な懸念不要。底堅い内需に牽引され、同国経済は実質5%成長持続の公算大。
(図表1)インドネシアの輸出入数量と輸出入金額
輸出数量(左目盛)
輸出金額(左目盛)
輸入数量(右目盛)
輸入金額(右目盛)
148
(2014年=100)
140
(図表2)名目賃金と鉱工業生産、小売売上、消費者心理
112
130
名目賃金(2013年=100、左目盛)
鉱工業生産(〃、左目盛)
小売売上高(〃、右目盛)
消費者信頼感(ポイント、〃)
(2014年=100)
112 109
106
125
120
106
132
103
115
124
100 100
110
116
97
105
94
94
100
91
95
88
90
85
85
108
88
100
82
92
84
76
2013
14
(出所) Badan Pusat Statistik
15
(注) 季調済。
0
82
80
2012
13
14
15
(年/月)
(出所) BPS、Bank Indonesia (注) 消費者信頼感以外は季調済。(年/月)
(図表3)主要業種別工業生産(季調済)
8
(2013年=100)
増減(①-②、左目盛)
2014年4~6月(右目盛)
14年7~10月(②、〃)
14年11~12月(①、〃)
(ポイント)
6
4
(図表4)対内・対外直接投資と証券投資
112
109
75
対外直接投資
ネット直接投資
対内直接投資
ネット証券投資
60
(億ドル)
106
45
2
103
30
0
100
▲2
97
▲4
94
▲6
91
15
0
▲15
▲30
▲45
2010
(出所) BPS
11
12
13
14
(出所) Bank Indonesia
(年/期)
【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373)
≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。