No.2015-019 2015年2月16日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp チリ持ち直し ~ 内外需増 ~ (1)チリ経済が持ち直しの兆し(図表1)。まず生産増。鉱工業生産は2013年初来の一進一退を 脱し、昨年9月を底に10月から増勢復帰。鉱業は9月から減勢。牽引役は製造業。主要業種別に みると、鉄鋼などの基礎金属や金属製品、プラスチックが牽引役。次いで消費増。季節調整に 伴う月次変動はあるものの、小売売上高が2013年11月からの弱含みを脱し、昨年10月から増勢 回復。12月、既往最多更新。品目別にみると食料品や飲料が減る一方、衣類履物、家電製品が 増加。賃金増加と中間層の拡大が反映。さらに昨年12月、輸出が大幅増。品目別には水産物や 果物などの食料、銅やモリブデンなど鉱物に加え、化学製品や紙パなど工業製品が増加。国別 には、とりわけペルーやメキシコなど周辺新興国向けが増加。 (2)設備投資にも動意の兆し。建設工事の許可面積は住宅が昨年6月以降、高水準ながら横這いで 推移するなか、サービスが8月から、製造業・商業は9月から増加し始め、非住宅が盛り上がり (図表2)。もっとも、住宅建設許可件数は昨年末、一段と増加。家電製品や家具など耐久財 消費の盛り上がりを後押し。積極的な消費者マインドが窺われる展開。 (3)景気持ち直しを映じて雇用情勢が改善(図表3)。就業者数が昨年8月を底に9月から力強い 増加。もっとも非労働力人口からのシフトが強まった結果、労働力人口は就業者数を上回って 増加。先行き期待拡大に伴う就業意欲増大を示唆。失業者数が増え、失業率は高止まりながら、 良好な雇用情勢を反映した動き。消費者マインドの好転に作用。 (4)今後の設備投資を左右する外資動向をみると昨年半ば以降、対内直接投資が再び盛り上がり (図表4)。周辺各国が引き続き堅調な成長軌道を歩むと見込まれるなか、内外需に牽引され、 同国経済は実質3%成長へ復帰する公算大。 (図表1)チリの小売売上と鉱工業生産、輸出(季調済) 106 104 (2013年=100) 実質小売売上(左目盛) 鉱工業生産(左目盛) 実質輸出(右目盛) (図表2)建設許可件数と許可面積(季調済) 112 12 許可件数(住宅(年率)、右目盛) 許可面積(住宅、左目盛) 〃(製造業・商業、〃) 〃(サービス、〃) (2013年=100) 108 10 (万件) 16 14 (10万㎡) 104 8 102 12 100 6 100 96 10 98 4 92 96 94 0 2013 88 2 84 0 14 (出所) Instituto Nacional de Estadísticas 8 06 2012 13 14 (年/月) (年/月) (出所) Instituto Nacional de Estadísticas (図表3)労働・非労働力人口と就業・失業者数、失業率 6.7 労働力人口(右目盛) 就業者数(〃) 失業率(左目盛) 失業者数(右目盛) 非労働力人口(〃) (%) 6.5 6.3 (万人) 40 32 (図表4)対内・対外直接投資と証券投資 12 (10億ドル) 対内直接投資 対外直接投資 ネット直接投資 ネット証券投資 8 24 4 6.1 16 5.9 8 5.7 0 0 5.5 ▲4 ▲8 ▲8 2013 14 (年/月) (出所) INE (注) 失業率以外は対2013年1月差。季調済。 2012 (出所) BCC 13 14 (年/期) (注) 2014年第4四半期は10~11月値。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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