No.2015-003 2015年1月9日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp ベトナム加速 ~ 内外需牽引 ~ (1)ベトナム経済が成長加速。昨年10~12月の実質経済成長率は前年比で前期7~9月の6.4%から 6.8%へ。業種別寄与度をみると引き続き最大が製造業で+1.4%、次いで商業が+1.1%。生産と 個人消費の力強さが窺われる展開。3位は鉱業。7~9月の+0.2%から+0.8%へ加速。石炭と原油 に加え、天然ガス生産が本格化。4位は+0.6%の電ガスと建設。建設は昨年1~3月の+0.2%から 期を追って増加。設備投資の盛り上がりを示唆。 (2)需要サイドからみるとまず輸出が昨秋来、増勢回復(図表1)。品目別には従来、同国輸出 を支えてきた衣類、履物が次第に頭打ちとなるなか、スマホなど通信機器や電子部品が大幅増。 輸入も昨秋来、増勢復帰。品目別には縫製機など資本財や鉄鋼など中間財に加え消費財も増加。 自動車輸入台数は季調済年率で昨年初の4万台から昨年11月11万台と2桁乗せ。 (3)次いで小売売上をみると、2013年8月をピークに次第に増勢が鈍化した後、昨年9月の前年比 9.1%増を底に増勢加速(図表2)。12月は同18.2%増。9月比伸び率倍増。自動車販売台数は 季調済年率で昨年初10万台から11月15万台。一方、鉱工業生産は昨年3月を底にほぼ月を追って 増勢加速。昨年末、製造業で最大の増加は前年比4.5倍増の電子部品。通信機器の生産拠点化が 進行。景況好転を受けて、雇用情勢が一段と改善(図表3)。雇用者数は一昨年央から昨年初、 頭打ち傾向が拡がったものの、昨春来力強い増勢回復。都市地方別の直近データは昨年4~6月 までながら、一昨年来の雇用増は都市圏が一進一退で地方圏が原動力。地方経済の成長本格化。 (4)設備投資を含め今後を左右する外資動向をみると、昨年初来翳りが拡がった後、10~12月、 大幅増(図表4)。製造業が牽引役。7~9月21億ドルから58億ドルへほぼ3倍増。次いで商業 ・不動産が4億ドルから16億ドル。内外需主導で同国経済は実質6%成長軌道持続の公算大。 (図表1)ベトナムの実質貿易収支と実質輸出入 16 (図表2)鉱工業生産と小売売上(前年比) 132 15 (億ドル) (2013年=100) 実質貿易収支(左目盛) 実質輸出(右目盛) 実質輸入(右目盛) 12 19 (%) 〃(鉱業) (%) 〃(電ガス) 鉱工業生産 〃(製造業) 小売売上 124 12 17 8 116 9 15 4 108 6 13 0 100 3 11 ▲4 92 0 9 ▲8 84 ▲3 7 5 76 ▲6 ▲12 2013 2013 14 (年/月) (出所) GSO (注) 生産の1、2月は平均。小売売上のみ右目盛。 (年/月) (出所) World Bank (図表3)雇用者数と失業率 18 15 12 雇用者数(地方圏、左目盛) 〃(都市圏、〃) 〃(全体、〃) 失業率(右目盛) 14 (図表4)主要分野別対内直接投資 (%) 2.4 8 (10億ドル) 2.3 その他 商業・不動産 製造業 2.2 6 (百万人) 9 2.1 6 2.0 3 1.9 0 1.8 4 ▲3 2012/4~6 13 14 2 1.7 0 2012/7~9 (年/期) (出所) Tổng Cục Thống (注) 雇用者数は対2012年4~6月差。 13 14 (年/期) (出所) Cục Đầu tư Nước ngoài 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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