No.2015-014 2015年2月4日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp ロシア生産増 ~ 休日増で11月減、12月は復調 ~ (1)ロシアの鉱工業生産が昨年11月の大幅減から12月、一転して大幅増(図表1)。10月以降では 前年比で3.0%増、▲0.3%から4.0%増、季調済前月比で0.5%増、▲1.2%から2.2%増。11月の マイナスは休日が主因。例年2月23日の祖国の日が昨年は日曜と重なり、11月3日に振り替わり。 11月の稼働日数を30日とすれば例年比1日減で▲3%の生産減に作用する筋合い。12月は例年通り の休日で11月のマイナス要因が剥落。 (2)2013年初来の推移をみると、13年6月から10月まで横這い。その後、14年1月を底に増勢回復の 兆しがみられたものの、昨年2月は祖国の日の休日が1日無い分、生産が実勢を上回って押し上げ られた点を加味してみれば、昨年8月まで一進一退。しかし9月から力強い増勢復帰。主要業種別 にみると昨年後半、とりわけ12月の生産増は輸送用機械が最大の牽引役(図表2)。12月の11月 比増加率で輸送用機械に次いで一般機械、非鉄金属、電気機械、化学、プラスチック、基礎金属 が増加。自動車生産増が幅広い業種に波及。マイナスは食料飲料と紙製品の2業種のみ。 (3)生産増に伴う景況好転で雇用情勢が一段と改善(図表3)。一昨年央来、労働力人口を上回る 雇用者増。昨年10月から再び労働力人口増。雇用環境改善を映じて就業意欲増大。小売売上高は これまで趨勢的に増勢を維持。さらに昨年12月、増勢加速。食料品と非食料品に分けてみると、 非食料品が食料品を上回って増加。典型的耐久消費財である乗用車をみると、昨秋来、販売増加 (図表4)。季調済年率ベースでみると、販売台数は一昨年末から減少の後、昨年8月の208万台 を底に増加。12月は296万台と既往最多水準。生産も増加。昨年10月142万台、11月の143万台から 12月187万台に。一方、輸入車は12年央以降、減勢。輸入車から国産者へのシフト進行。雇用増や 海外への所得流出減を通じて成長力の押し上げに作用。同国市場に対する外資姿勢の変化が反映。 金融為替市場などでは依然動揺が続いているものの、生産動向からみるかぎり、同国経済は堅調。 (図表1)ロシアの鉱工業生産(季調済) (図表2)主要業種別工業生産(季調済) 25 108 105 135 (2013年=100) (2013年=100) (2013年=100) (%) 104 鉱工業生産 鉱業 製造業 電力 103 増減率(①/②、左目盛) 2014年7~10月(右目盛) 2014年11月(②、右目盛) 2014年12月(①、右目盛) 106 20 104 15 102 10 114 5 107 0 100 102 128 121 101 100 100 98 99 98 96 970 94 2013 ▲5 93 ▲10 86 14 (年/月) (出所) FSSS (注) 鉱工業生産のみ左目盛。 (出所) FSSS (図表3)労働力人口と雇用・失業者数、賃金、小売売上 8 124 (10万人) (2013年=100) 雇用者数(季調済、左目盛) 労働力人口(〃、〃) 失業者数(〃、〃) 賃金(〃、右目盛) 小売売上(〃、〃) 4 (図表4)乗用車の販売、生産、輸入、輸出台数 32 (10万台) 販売 生産 輸入 輸出 116 28 24 108 20 0 100 16 92 ▲4 12 8 84 4 76 ▲8 2013 (出所) FSSS 14 (年/月) (注) 名目賃金と小売売上以外は対2012年1月差。 0 2008 09 10 (出所) FSSS など 11 12 13 14 (年/月) (注) 季調済年率。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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