No.2015-045 2015年4月17日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp メキシコ復調へ ~ 自動車輸出増 ~ (1)メキシコ経済は昨年10~12月、季調済前期比年率で実質経済成長率が前期7~9月の2.9%か ら0.7%に鈍化。さらに昨年11月をピークに鉱工業生産が弱含み(図表1)。製造業が主因。 しかし本年2月、前月比増加。製造業に加え、鉱業も増加。かつて鉱業は原油を中心に同国経 済を牽引。産油量の漸減傾向が続くなか、鉱業は2013年末来、減勢。本年2月の増加は天然ガ スが増産。今後をどのようにみるべきか。 (2)昨年、鉱業がほぼ一貫して減少するなか生産増は製造業が牽引。そこで工業生産の主要業種 別寄与度を季調済前月比でみると、2月は工作機械などの一般機械が+0.23%で最大(図表2)。 旺盛な設備投資が窺われる推移。次いで輸送用機械が+0.20%。13年基準でみた生産水準でも、 輸送用機械が最大。次いでスマホやタブレットなど情報機器、金属製品。同国政府が戦略産業 として後押しする自動車、航空機部品、情報端末が大幅増。 (3)同国経済は輸出主導型。しかし輸出金額は昨年10月をピークに減少。主要分野別にみると、 原油価格の下落影響に加え、主力輸出品の自動車や情報端末など機械機器でも昨年末来、減勢 (図表3)。しかし自動車輸出台数は季調済年率で昨年11月の265万台を底に増勢。直近3月は 292万台。輸出先は米国が大半。米国向けは昨年輸出全体の8割。地理的にみると、メキシコの 工業生産は中央エリアが中心で船舶輸送が重要。昨年末から深刻度を深めた米国西海岸の港湾 ストも同国輸出を下押し。もっとも2月20日、労使暫定合意。加えて年初来の自動車生産増から 推せば3月以降も着実な生産増加の公算。失業率は昨年末来4%台半ば。リーマンショック以前 の水準。賃金も増加して消費者マインドが改善し、小売売上は昨年後半の一進一退から本年1月 増勢回復の兆し(図表4)。昨年10~12月の成長鈍化は輸入増と在庫減が主因で、消費、投資、 輸出は堅調。機械機器の輸出増に内需が上乗せされ、本年、同国経済は実質3%成長の見通し。 (図表1)メキシコの鉱工業生産(季調済) (図表2)主要業種別工業生産(季調済) 103 109 0.4 (ポイント) (2013年=100) (2013年=100) 鉱工業生産 鉱業 公益 建設 製造 102 106 101 寄与度(①/②、左目盛) 2014年10~12月(右目盛) (2013年 15年1月(②、〃) =100) 15年2月(①、〃) 120 0.2 110 0.0 100 103 100 100 99 97 98 0 94 2013 14 (出所) INEGI ▲0.2 90 ▲0.4 80 15 (注) 鉱工業生産のみ左目盛。 (年/月) (出所) INEGI (図表3)主要分野別輸出金額(季調済) 10 (図表4)消費者信頼感と小売売上、名目賃金(季調済) (10億ドル) 22 100 (10億ドル) 98 8 20 96 109 (2003年1月=100) 消費者信頼感(左目盛) 小売売上(右目盛) 名目賃金(右目盛) (2013年 =100) 106 94 92 6 103 18 90 88 4 100 16 86 自動車(左目盛) 石油(左目盛) 工業鉱業製品(除く自動車、右目盛) 84 0 14 82 2 2012 13 14 15 97 2013 14 15 (年/月) (出所) INEGI (年/月) (出所) INEGI (注) 季調済。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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