≪藤井英彦の視点≫

No.2015-031
2015年3月16日
≪藤井英彦の
藤井英彦の視点≫
視点≫
http://www.jri.co.jp
台湾成長持続
~ 生産増で消費増 ~
(1)台湾経済が堅調。鉱工業生産をみると季調ベースでは春節要因に伴う例年の変動で本年1月、
前月比▲1.6%のマイナスながら、前年比では昨年11月の6.8%を底に12月7.8%、本年1月8.1
%と月を追って増勢加速(図表1)。とりわけ製造業は9.7%と2ケタ増の勢い。輸出受注は、
昨秋来一段と増加。景況に連動する輸入も、月次変動はあるものの、生産や輸出受注と同様に
2013年央以降の増勢が持続。
(2)業種別生産は最新値が昨年12月。そこで昨年7~9月と10~12月で対比してみると、電子部品、
電子機器が生産増加の原動力(図表2)。主な電子部品の7~9月と10~12月の前期比増減率を
みると、ウェハーは6.0%から9.3%。集積回路は9.2%から横這い。プリント回路は6.4%から
3.4%に鈍化した後、本年1月、10~12月比17.8%増。TSMC、UMCの大手ファンドリーメーカー
2社の売上高は昨秋来、大幅増の後、本年に入り一段と増加。主要部品の生産動向や大手2社の
売上から推せば、鉱工業生産は本年1~3月も引き続き堅調増加の可能性。
(3)景気拡大を映じて雇用情勢が一段と改善(図表3)。雇用者数が着実に増加。労働力人口の
増加だけでは足らず、失業者数が13年末から減勢に転じ失業率は昨年初から急ピッチで低下。
本年1月は3.78%。2001年初来の低水準。労働需給の逼迫が進行。賃金上昇に作用。所得雇用
環境の改善で消費者心理は昨年10月を底に改善傾向(図表4)。本年1、2月と2ヵ月連続して
ハイペースで好転。もっとも小売売上高が本年1月、前月比▲2.8%の大幅減。主因はガソリン
など燃料支出の減少。原油価格低下に伴う影響。一方、代表的耐久財の自動車では、国内販売
台数が季調済年率で昨年8月の24.9万台を底に増加。本年1月は31.3万台。自動二輪も昨年8月
の同59万台を底に増加し、本年1月は73万台。自動車、自動二輪ともに輸出も堅調。電子部品、
電子機器生産の増加を起点に同国経済は内外需に牽引され実質3%台の成長持続の公算大。
(図表1)台湾の鉱工業生産と実質輸入、輸出受注
(図表2)主要業種別工業生産(季調済)
1.2
118
124
(%)
(2013年=100)
(2013年=100)
鉱工業生産
実質輸入
輸出受注
115
寄与度(①/②、左目盛)
2014年4~6月(右目盛)
14年7~9月(②、右目盛)
14年10~12月(①、右目盛)
0.8
112
109
116
0.4
108
0.0
100
106
103
100
97
94
▲0.4
92
▲0.8
84
91
0
2012
13
(出所) 經濟部 など
14
(注) 季調済。
15
(年/月)
(出所) 經濟部
(図表3)労働・非労働力人口と就業・失業者数、失業率
24
(図表4)消費者信頼感指数と小売売上高
4.2 90
106
(2013年=100)
(%)
(ポイント)
(万人)
18
消費者信頼感指数(左目盛)
小売売上高(右目盛)
4.1 86
就業者数(左目盛)
労働力人口(〃)
非労働力人口(〃)
失業者数(〃)
失業率(右目盛)
12
104
4.0 82
102
6
3.9 78
100
0
3.8 74
98
3.7 70
▲6
2013
(出所) 經濟部
14
15
(注) 季調済。失業率以外は対13年1月差。 (年/月)
96
2012
13
(出所) 經濟部 など
14
15
(注)小売売上高のみ季調済。 (年/月)
【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373)
≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。