No.2015-006 2015年1月16日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp インド生産増 ~ 成長軌道復帰が視野 ~ (1)インドの鉱工業生産は昨年10月、前月比▲6.7%の大幅なマイナス(図表1)。しかし11月、 同7.0%と一転して大幅増。原動力は製造業。製造業生産は10月同▲8.5%のマイナスから11月 同8.1%増。主要業種別に寄与度を前月比ベースでみると11月の製造業生産増は化学が+1.6% で最大(図表2)。次いで四輪車+1.3%、機械機器と繊維が+0.9%、鉄鋼など基礎金属や金属 製品、窯業・土石が+0.5%。11月、前月比マイナスは食品・飲料や電気機器と限定的。大半の 業種でプラス。鉱業や電力も11月プラス。 (2)10月の大幅な鉱工業生産の減少は休日が主因。ヒンドゥー教の新年を祝うディーワーリーの 連休が2013年の11月から14年10月に。11月、生産が嵩上げされた可能性。仮に実勢比、11月の 生産水準が上振れしていた場合、今後、弱含みに向かう筋合い。今後をどのようにみるべきか。 (3)昨年11月、化学の生産増は肥料に加え、ガソリンや塗料も牽引。このようにみると機械機器 や鉄鋼を含め自動車生産が原動力。季調済年率で乗用車の生産台数は10月276万台に減った後、 11月347万台と前月差+71万台に大幅増(図表3)。しかし12月は328万台となり、同▲19万台 のマイナス。11月の生産が上振れした可能性。もっとも、国内販売台数が11月の259万台から 12月271万台へ前月差12万台増加し、輸出台数が11月の69万台から12月77万台へ同8万台増加。 国内販売台数と輸出台数を合算すると12月は348万台で、生産台数を20万台凌駕。国内販売は 一進一退ながら、輸出台数が昨年9月から増勢。周辺の新興国向け自動車生産・供給拠点に。 (4)加えて利下げ余地拡大。根強いインフレ圧力下、これまで金融政策は引締基調(図表4)。 しかし昨秋来、インフレ圧力後退。1月15日緊急利下げ。さらなる利下げで一段の内需底上げ と成長加速が視野。今後、生産は増勢を続け、同国経済は着実な成長軌道へ復帰する公算大。 (図表1)インドの鉱工業生産(季調済) (図表2)主要業種別工業生産(季調済) 104 102 114 (2013年=100) 鉱工業 鉱業 製造業 電力 1.6 118 (2013年=100) (2013年=100) (ポイント) 107 100 0.8 109 0.0 100 100 98 93 91 ▲0.8 96 86 94 0 79 寄与度(①/②、左目盛) 2014年7~9月(右目盛) 2014年10月(②、右目盛) 2014年11月(①、右目盛) ▲1.6 2013 14 (年/月) (注) 製造業と電力のみ右目盛。 (出所) MOSPI (出所) MOSPI (図表3)乗用車の輸出、国内販売、生産台数 86 (図表4)消費者・卸売物価(前年比)とレポレート 36 (100万台) 輸出(左目盛) 国内販売(右目盛) 生産(右目盛) 78 82 13 34 12 (10万台) 32 70 12 レポレート コールレート 消費者物価 卸売物価 (%) (%) 10 11 8 10 30 62 9 6 28 8 54 26 4 7 6 46 24 2 5 22 40 38 2012 13 (出所) SIAM (注) 季調済年率。 14 0 2011 (年/月) 12 (出所) RBI、MOSPI 13 14 15 (注) 卸売物価のみ右目盛。 (年/月) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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