No.2015-028 2015年3月9日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp オーストラリア成長加速 ~ 消費と輸出増 ~ (1)オーストラリアが成長加速。昨年10~12月の実質経済成長率は前年比では前期7~9月の2.7% から2.5%と若干の鈍化ながら、季調済前期比年率では1.4%から2.2%。主要項目別に寄与度を みると、民間設備投資は▲0.2%と微減になったものの、民間消費が+2.0%と2012年1~3月以来 の力強い増加。さらに輸出などが+0.9%、住宅投資が+0.5%。 (2)実質輸出は昨年前半、鉄鉱石や石炭を中心に減少した後、5月を底に持ち直しへ(図表1)。 9月まで一進一退の後、10月から増勢復帰。品目別には食肉や原油、天然ガスに加えて、鉄鋼や 非鉄金属、輸送用機械など機械機器が増加。エリア別には欧米やアセアン向けが増加。 (3)住宅の建設許可件数は月次変動が大きく、昨年9月に大幅減ながら、総じてみれば昨年4月を 底に増勢(図表2)。さらに本年1月、季調済年率で23.1万件と大幅増。昨年4月比で23%増、 9月比では26%増で既往最多。一方、昨年10~12月、マイナスとなった設備投資に動意の兆し。 建設許可金額は昨年初来、総じて減勢。しかし本年1月、一転して前月比74%と大幅増。 (4)小売売上高は昨年初来、緩慢な増勢をたどった後、9月から大幅増(図表3)。品目別には、 飲食、住宅増を映じた家財が増加。起点は消費者心理の改善。一昨年末来、一貫して悪化して きた消費者信頼感が7月底入れし、8月から一進一退。さらに本年2月、大幅上昇。先行き懸念 後退。加えて雇用情勢改善(図表4)失業率は月次変動が残るものの、一昨年来、上昇傾向。 とりわけ昨年4月から10月は大幅上昇。雇用が増えず、失業増。さらに非労働力人口が大幅増。 雇用情勢悪化。しかし11月から雇用増。失業も増加ながら、非労働力人口が減少。就業期待の 盛り上がりを映じた労働力人口へのシフトで前向きな動き。外資動向をみると、高水準の対内 直接投資に加え、証券投資が増加。内外需主導で同国経済は実質3%前後の成長持続の公算大。 (図表1)オーストラリアの輸出入金額と実質輸出入 135 (図表2)非住宅建設許可金額と住宅建設許可件数 125 建設許可金額(非住宅、右目盛) 〃件数(住宅(年率)、左目盛) (2013年=100) 130 120 22 輸入金額(左目盛) 実質輸入(左目盛) 輸出金額(右目盛) 実質輸出(右目盛) 125 (2010年=100) 150 (万件) 115 120 110 (2013年 =100) 20 130 18 110 115 105 110 100 105 95 16 100 90 95 85 90 70 14 0 50 80 12 90 2012 13 (出所) ABS, World Bank 14 (注) 季調済。 2013 15 (年/月) 14 15 (出所) Australian Bureau of Statistics (注) 季調済。(年/月) (図表3)小売売上高と消費者心理、自動車販売倍台数 (図表4)労働・非労働力人口と雇用・失業者数、失業率 小売売上高(右目盛) (10億豪ドル) 消費者信頼感指数(ポイント、左目盛) 238 自動車販売台数(年率万台、左目盛) 120 234 115 4 6.5 (10万人) (%) 労働力人口(左目盛) 雇用者数(左目盛) 非労働力人口(左目盛) 失業者数(左目盛) 失業率(右目盛) 3 230 110 226 105 6.3 6.1 2 5.9 222 1 218 100 214 95 5.7 0 5.5 210 90 0 ▲1 206 2012 13 14 15 (出所) Australian Bureau of Statistics など (注) 季調済。(年/月) 5.3 2013 (出所) ABS 14 15 (注) 季調済。失業率以外は対2013年1月差。 (年/月) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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