2015年夏季賞与の見通し

No.2015-001
2015年4月6日
http://www.jri.co.jp
2015年夏季賞与の見通し
― 一人当たり支給額が2年連続のプラスへ ―
(1)今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+2.3%と、夏季賞与として
は2年連続のプラスとなる見込み(図表1)。
(*)厚生労働省「毎月勤労統計」事業所規模5人以上ベース。なお、2015年1月に調査事業所抽出替えに伴うデータの遡及改定が
実施され、4月3日に公表された。この結果、2012年以降の夏季賞与の伸びは、改定前の前年比▲1.4%、+0.3%、+3.1%
から、同▲1.6%、▲0.1%、+2.7%へとぞれぞれ下方修正され、改定前よりもプラス転化が1年後ずれしている。
(2)背景には、内需を中心とした景気回復を受けた2014年度下期の企業収益の持ち直しと、労使と
もに昨年以上に積極化した賃上げの動き(図表2)。本年の春闘では、業績が好調な大企業製
造業を中心に、昨年を上回る賃上げ率やベアを確保する動き。非製造業や中小企業でも、金額、
伸び率では大企業製造業に及ばないものの、人手不足感が強まるなか(図表3)、賃上げに踏
み切る動きがあり、賞与額のベースとなる所定内給与の増加を通じ、賞与押し上げに作用する
見込み。
(3)支給総額は、前年比+4.7%の増加となる見込み(図表4)。一人当たり支給額の増加に加え、
景気の回復傾向を反映した支給対象者の増加が押し上げに作用。
(4)国家公務員は、+6.3%の増加となる見込み。①人事院勧告に基づく0.075ヵ月分の引き上げ
(*)、②平均年齢の上昇などによる平均給与月額の増加、が押し上げに作用。
(*)前年夏季分は年末賞与支給時にまとめて実施された。
(図表2) 春闘賃上げ率と経常利益(前年比)
(図表1) 一人当たり夏季賞与の見通し
(%)
経常利益1期前(右目盛)
春闘賃上げ率連合速報集計(左目盛)
同最終集計(左目盛)
2.4
60
55
50
45
(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
▲5
▲ 10
▲ 15
2.2
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
11
12
13
14
15
(資料)財務省、連合
(年/半期)
(注)春闘賃上げ率速報は2015/3/31の第3回集計と過去の
同時期の集計。
(図表3) 日銀短観雇用判断DI(過剰-不足)
(%ポイント)
50
大企業製造
大企業非製造
中小製造
中小非製造
40
30
20
過剰超
↑
10
0
↓
不足超
▲ 10
▲ 20
▲ 30
2006 07
08
09
10
11
(資料)日本銀行
(注2)2015年4~6月期は、予測値。
12
13
14
15
(年/期)
(図表4) 賞与支給総額(前年比)
賞与支給労働者割合(夏季、右目盛)
8
7
(%)
6
5
4
3
2
1
0
▲1
▲2
(%)
予測
支給労働者数
一人当たり支給額(左目盛)
支給総額(左目盛)
83
82
81
80
79
78
77
76
10
11
(資料)厚生労働省
12
13
14
(年/半期)
【ご照会先】調査部 主任研究員 小方尚子([email protected] , 03-6833-0478)