No.2015-008 2015年1月21日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp メキシコ生産増 ~ 生産拠点化 ~ (1)メキシコの鉱工業生産が増勢回復(図表1)。鉱工業生産は一昨年の一進一退から昨年初来、 増勢に復帰したものの、年央以降、再び頭打ち。しかし10月前月比0.5%増、11月同0.2%増と 2ヵ月連続着実な増加。産業別には、まず製造業が牽引役。次いで建設が土木工事を含め好調。 一方、従来、同国経済を支えてきた鉱業は原油、天然ガスをはじめ低調。産業の構造転換進行。 (2)昨年7~9月と10~11月の製造業生産を対比し主要業種別に寄与度をみると、前期比ベースで 最大の牽引役は+0.4%の輸送用機械(図表2)。次いでスマホやタブレットなどの情報機器が +0.2%。政府が自動車と航空機部品、情報端末の3分野を戦略分野として近年積極的に後押し。 裾野産業が広く、金属製品や電気機械、基礎金属など幅広い業種で底堅い増加。 (3)実質輸出は昨春盛り上がった後、年央以降落ち込んだものの、10月から再び増加(図表3)。 自動車と航空機部品、情報機器が主力。輸出先は米国が大半。加えて、このところ独仏伊など 欧州向け、コロンビアやチリなど南米向け、UAEやエジプトなど中東向けも増加。需要地に 近いうえ、賃金をはじめ低い生産コストに着目し、外資企業が引き続き積極的に進出。 (4)もっとも、主力の自動車では昨年10月をピークに生産台数が減少(図表4)。季調済年率で 10月357万台から11月329万台、12月326万台。生産動向から推せば昨年12月以降鉱工業生産に 翳りが拡がる可能性。しかし輸出台数は季節調整に伴う月次変動がみられるものの、昨年初来、 総じて増勢。12月は277万台。加えて国内販売増。11月80万台。所得雇用環境の改善に加えて、 消費者心理好転。12月輸出台数と11月国内販売台数を合算すると357万台。12月の生産台数を 31万台凌駕。今後、生産増に向かう公算大。企業マインドも積極化の兆し。同国経済は今後、 内外需に牽引され、実質3%台半ばの成長軌道に復帰する見通し。 (図表1)メキシコの鉱工業生産(季調済) (図表2)主要業種別工業生産(季調済) 103 107.5 0.8 118 (2013年=100) (2013年=100) (2013年=100) 115 (ポイント) 0.6 鉱工業生産 鉱業 公益 建設 製造 102 寄与度(①/②、左目盛) 2014年4~6月(右目盛) 14年7~9月(②、〃) 14年10~11月(①、〃) 105.0 0.4 101 112 109 106 102.5 0.2 103 100 100.0 0.0 100 97 99 97.5 ▲0.2 94 91 ▲0.4 98 0 95.0 2013 14 (出所) INEGI (年/月) (注) 鉱工業生産のみ左目盛。 (出所) INEGI (図表3)実質輸出入と輸出入金額(季調済) 120 (2013年 =100) 115 (図表4)自動車の国内販売・輸出・生産台数 85 (2013年=100) 実質輸入(左目盛) 輸入金額(左目盛) 実質輸出(右目盛) 輸出金額(右目盛) 110 (10万台) 国内販売台数(左目盛) 輸出台数(右目盛) 生産台数(右目盛) (万台) 80 36 34 105 32 110 100 75 30 70 105 95 100 90 65 95 85 60 28 26 24 0 80 55 90 2012 13 22 2012 14 13 14 (年/月) (出所) ENEGI、World Bank (年/月) (出所) AMIA (注) 季調済年率。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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