No.2015-020 2015年2月18日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp インド指標悪化 ~ 資源安で輸出入金額減 ~ (1)インドは昨年10~12月前年比7.5%成長。前期の7~9月同8.2%と比べれば若干鈍化ながら、 引き続き高成長。消費、投資、輸出の3本柱が揃って牽引。一方、インフレ圧力は次第に後退。 一段の利下げ余地。しかし本年1月、輸出入とも大幅減(図表1)。一般に輸入は景況と連動。 さらに生産動向をみると、昨年10月の大幅減から11月持ち直したものの12月弱含み(図表2)。 貨物取扱量は船舶、鉄道とも12月から弱含み。同国経済をどのようにみるべきか。 (2)まず輸出金額は前年比▲11.4%のマイナス。主要品目別に寄与率をみると、石油製品77%、 油粕6%、鉄鉱石4%。輸入金額は同▲11.4%と輸出金額とほぼ同水準の減少。同じく寄与率を みると、原油が119%。原油以外の輸入は前年比3.5%増。原油など資源安が輸出入減の主因。 (3)それでは生産減はどうか。主要業種別に昨年12月の工業生産をみると、食品・飲料、タバコ、 電気機器以外大半の業種が前月比横這いか、マイナス(図表3)。寄与度をみると、四輪車が ▲0.47%で最大のマイナス。次いで化学▲0.45%、通信機器▲0.40%、繊維▲0.39%。同国は かつて携帯電話の世界的な生産拠点。しかしスマホやタブレットに通信機器市場がシフトする なか、輸入増。生産水準をみても、このところの通信機器生産減は際立って大幅。一方、昨年 11月から本年1月の二輪・四輪車の生産台数を季調済年率ベースでみると、乗用車は347万台か ら328万台、323万台と減少ながら、商用車は75万台から66万台に減った後、69万台に増え、二 輪車も1,905万台から1,821万台に減った後、1,846万台に増加(図表4)。自動車を含め多くの 業種で、ヒンドゥー教の新年を祝うディーワーリーの連休が2013年の11月から14年10月となり、 11月が嵩上げされた分、12月の生産が押し下げられた可能性。加えて本年1月、昨年比休日増で 自動車輸出など下押しに作用。このようにみると、年初来の指標悪化を過度に懸念する必要小。 (図表1)インドの輸出入金額と実質輸出入(季調済) 140 (2014年 輸入金額(左目盛) =100) 実質輸入(〃) 輸出金額(右目盛) 実質輸出(〃) (2014年=100) 130 110 (図表2)鉱工業生産と鉄道・船舶貨物量、電力需要 106 鉱工業生産(左目盛) 鉄道貨物(右目盛) 船舶貨物(右目盛) 電力需要(右目盛) 105 105 104 112 (2013年 =100) 108 (2013年=100) 103 120 100 102 104 101 110 95 100 100 99 100 90 98 96 97 90 85 96 92 95 80 80 2013 14 (出所) Department of Commerce 94 0 88 2013 15 14 (年/月) (出所) MOSPI (図表3)主要業種別工業生産(季調済) 0.8 (ポイント) 0.6 15 (注) 季調済。 (年/月) (図表4)自動車の輸出・生産・国内販売台数 120 寄与度(①/②、左目盛) 2014年10月(右目盛) (2014年7~9月 40 =100) 14年11月(②、〃) 110 14年12月(①、〃) 0.4 100 0.2 90 0.0 80 ▲0.2 70 ▲0.4 60 ▲0.6 50 (100万台) 27 (10万台) 輸出(左目盛) 国内販売(右目盛) 生産(右目盛) 38 25 23 36 21 34 19 32 30 17 28 15 26 13 2012 (出所) MOSPI 13 (出所) SIAM 14 15 (注) 季調済年率。二輪車を含む。 (年/月) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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