≪藤井英彦の視点≫

 No.2015-023
2015年2月25日
≪藤井英彦の
藤井英彦の視点≫
視点≫
http://www.jri.co.jp
コロンビア持ち直し
~ 内需増で生産増 ~
(1)コロンビア経済が持ち直し(図表1)。同国経済は従来、原油や石炭など鉱物性燃料輸出が
成長牽引。しかし昨年央来、原油価格が大幅下落。先行き懸念が台頭し、小売売上は一進一退。
しかし昨年10月から小売売上が再び力強い増勢復帰。電力需要も昨年末増勢回復。もっとも、
鉱工業生産は依然一進一退。しかし休日要因が作用。まず年央の連休が2013年の7月から14年
6月に移動した結果、昨年6月の生産が落ち込み、7月反動増。次いで昨年12月の休日が13年比
1日減。生産減に作用する筋合いながら12月は逆に前月比3.4%増。実勢は一段と強い可能性。
(2)消費増の典型が自動車(図表2)。自動車販売台数は季調済年率ベースで昨年6月28.8万台
を底にほぼ月を追って増加。12月は36.8万台。乗用車が牽引。同国では従来、輸入車が中心。
しかし昨年央来、国産車も販売増。季調済年率で昨年6月の9.7万台から12月12.6万台。昨年の
年間販売台数は総数32.9万台、国産車11.0万台。両者、既往最多。国産車増で雇用増。自動車
以外でも、食料飲料や被服、通信端末や家具、書籍や化粧品など幅広い分野で小売増。所得・
雇用環境の改善に加え、先行き懸念後退に伴う消費者マインドの改善が原動力。
(3)休日要因に伴う変動を均す観点から鉱工業生産を昨年6~9月と10~12月で主要業種別に対比
してみると、とりわけ非鉄金属や基礎金属、ガラス製品など自動車関連分野に加え、電気機械
が大幅増(図表3)。一方、大幅減はバッグや履物、アパレルなど労働集約分野が大半。労働
需給が次第に逼迫するなか、高付加価値化に向けた産業構造変化が進行。
(4)設備投資の行方を左右する外資動向をみると対内直接投資が引き続き高水準で推移するなか、
証券投資が昨秋、大幅増(図表4)。消費拡大を受けてスピーディーな市場参入を目指す動き
が本格化。同国経済は着実な内需に牽引され、同国経済は実質5%前後の成長持続の公算大。
(図表1)コロンビアの鉱工業生産、電力需要、小売売上高
106
(2013年=100)
103
(図表2)自動車販売台数(季調済年率)
38
(2013年=100)
鉱工業生産(左目盛)
電力需要(右目盛)
小売売上高(〃)
27
(万台)
(万台)
販売台数(総計、左目盛)
〃(輸入車、左目盛)
〃(国産車、右目盛)
112
34
23
108
100
30
19
26
15
22
11
96
18
7
92
0
14
104
97
100
94
91
0
88
2012
13
14
15
(出所) DANE (注) 季調済。小売売上高は実質。
3
2012
(年/月)
(ポイント)
14
(出所) Asopartes
(図表3)主要業種別工業生産(季調済)
15
13
(年/月)
(図表4)対外・対内直接投資とネット証券投資
115
6
(2013年=100)
(10億ドル)
10
110
5
4
5
105
0
100
3
2
1
▲5
95
▲10
増減(①-②、左目盛)
2014年1~5月(右目盛)
2014年6~9月(②、右目盛)
2014年10~12月(①、右目盛)
▲15
90
0
▲1
対外直接投資
対内直接投資
ネット直接投資
ネット証券投資
▲2
85
▲3
▲4
▲5
2012
(出所) DANE
13
14
(出所) Banco de la República
(年/期)
【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373)
≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。