景気循環研究所レポート 地方創生のカギを握るインバウンド消費 2015 年 4 月 8 日 地方景気の回復に温度差 景気ウォッチャー調査(別名:街角景気)の「景気の現状判断 DI」は、 14 年 11 月に底を打ち、直近 15 年 3 月まで 4 ヵ月連続で上昇した。街角 景気は順調に回復している模様だが、その回復ペースは地域によって大き く異なる。14 年 11 月から 15 年 3 月までの「景気の現状判断 DI」の上昇 幅を地域間で比較すると、北海道や北陸の上昇幅が比較的大きい半面、四 国や中国の上昇幅は小幅にとどまっている(図 1)。 地域別の外国人入国者数 景気判断の理由を地域別にみると、景気の回復ペースが早い北海道や北 陸で、外国人観光客の消費(インバウンド消費)に関する肯定的なコメン トが目立つ。半面、四国や中国では、インバウンド消費への言及は少ない。 外国人観光客の人気度を測る尺度として、国内主要空港の出入国者数に占 める外国人入国者数の割合(外国人入国者比率)をみると、同比率が高い 地域において「景気の現状判断 DI」の上昇幅が比較的大きい(図 1)。 実際には、地域の主要空港を利用せずに地方都市を訪問する外国人観光 客は少なからずいるだろうし、外国人観光客の動向のみで地域の景況格差 の全てを説明できるわけでもない。それでも、地方景気の下支え役である 公共投資が足元で息切れしつつある中、公共投資依存度の高い北海道にお 嶋中 雄二 景気循環研究所長 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 シニアエコノミスト 宮嵜 いて、景気の回復ペースが際立って早い点は見逃せない。外国人観光客の 動向が、政府が目指す「地方創生」の成否のカギを握っている。 図 1. 地域別にみた「街角景気」と訪日外国人観光客の関係 (ポイント) 20 浩 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 39.8 40.4 12 6 シニアエコノミスト 03-6213-2608 4 40 11.6 10.1 9.8 100 60 40.4 13.3 10 圭亮 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 46.4 (%) 80 62.3 58.5 16.7 8 福田 72.1 68.8 14 93.8 主要空港の外国人入国者比率(15年2月、右目盛) 18 16 シニアエコノミスト 03-6213-6573 91.6 9.2 9.7 8.8 10.5 20 0 7.5 景気ウォッチャー調査・景気の現状判断DIの変化 (14年11月→15年3月、左目盛) 2 0 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 景気循環研究所 東京都千代田区丸の内 2-5-2 北海道 東北 関東 東海 北陸 近畿 中国 四国 九州 沖縄 (注1)外国人入国者比率=外国人入国者数÷出入国者数。出入国者数=日本人出国者数+外国人入国者数。 (注2)各地域の主要空港は以下の通り。 北海道:新千歳空港、東北:仙台空港、関東:成田国際空港、東海:中部国際空港、北陸:小松空港、 近畿:関西国際空港、中国:広島空港、四国:高松空港、九州:福岡空港、沖縄:那覇空港 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」、法務省「出入国管理統計」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー 証券景気循環研究所作成 (以 上) 三菱ビルヂング みやざき (15.4.8 宮嵜 1 ひろし 浩) 2015 年 4 月 8 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2
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