景気循環研究所レポート 景気循環研究所の 金融政策展望(3/16・17、日銀決定会合) 2015 年 3 月 13 日 現状維持の予想 日本銀行は、3 月 16-17 日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持 を決定する見通し。黒田日銀総裁は、14 年 10 月 31 日の追加金融緩和に ついて、「『原油価格の下落』という長期的には望ましい現象の結果であ っても、実際の物価上昇の足踏みが長引くような場合、バックワード・ル ッキングな期待形成は弱まる可能性があります。その結果、2%の実現に 疑いが生じるようなことになれば、 『量的・質的金融緩和』のメカニズム が全体として弱まってしまうリスクが生じます」として、 「2%の早期実現 の決意にいささかの揺るぎもないことを改めて『行動』の形で示す必要が あると考えました」と説明している。 信認の毀損リスク 足元の物価動向をみる限り、日銀が再び、当時と同様の『行動』を示す 必要性が増しつつある。原油価格の下落が主因とはいえ、①消費者物価総 合(いわゆるヘッドライン)、②同生鮮食品を除く総合(コア)、③ 食料(酒 類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアあるいは米国方式コア)、 ④持家の帰属家賃を除く総合、⑤東京都区部中旬速報値、の 5 つの指標が いずれも現時点で前年比 0.4%以下となっている。インフレ目標に則っ て、できるだけ早期のデフレ脱却を目指している中央銀行が、物価上昇率 が一時的にでもマイナスになることを座視していると受け取られること による、信認の毀損リスクは大きい。 嶋中 雄二 景気循環研究所長 今後、15 年 2 月までに消費者物価総合、持ち家の帰属家賃を除く総合、 生鮮食品を除く総合(コア)、食品・エネルギーを除く総合(コアコア) のどれか 1 つでも、前年同月比がゼロないしマイナスになったり、3 月中 宮嵜 浩 旬の東京都区部速報値がゼロないしマイナスになった場合、日銀は 4 月 シニアエコノミスト 03-6213-6573 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 30 日の決定会合で、長期国債、ETF の追加購入に加えて、地方債、政府関 係機関債の新規購入を、合計年 10 兆円ペースで実施することを決定する 可能性がある。 福田 表 1. 日本の金融政策見通し 圭亮 シニアエコノミスト 03-6213-2608 予測 (期末値) 2014年度 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に 基づき、宮嵜・福田が執筆を担当 しています。 無担保 コールレート(%) 超過準備に対する 適用利率(%) マネタリーベース 景気循環研究所 年間増加額(兆円) 2015年度 2016年度 2017年度 上期 下期 上期 下期 上期 下期 上期 下期 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0.50 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 60~70 約80 約80 約80 約80 約40 - - (資料)三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 東京都千代田区丸の内 2-5-2 (以 上) みやざき ひろし (15.3.13 宮嵜 三菱ビルヂング 1 浩) 2015 年 3 月 13 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2
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