景気循環研究所レポート 「街角景気」は個人消費の回復を示唆 2016 年 9 月 8 日 内閣府が 8 日に発表した 8 月の景気ウォッチャー調査(通称:街角景気) 10 年ぶりに上昇した 「8 月の街角景気」 によると、同月の景気の現状判断 DI は 45.6 となり、7 月を 0.5 ポイント 上回った。景気の現状判断 DI が 8 月に上昇するケースは非常に珍しい (2006 年以来 10 年ぶり)。景気判断の理由をみると、 「オリンピックがあ り受注が落ち込むかと思われたが、前年に比べ国内旅行の受注が順調であ った」(北陸・旅行代理店)、「引き合い、商談件数、受注量共に増加傾向 にある。IT関連市場の投資意欲を感じる」(北関東・情報サービス)な どが挙げられている。 一方、先行き判断 DI も、現状判断 DI と同様、8 月に下がりやすいとい 8 月は現状判断 DI・先行 き判断 DI ともに上昇 う季節性を有しているにもかかわらず、直近 16 年 8 月の先行き判断 DI は前月比 0.3 ポイント上昇した。景気判断の理由として「宿泊は、今後も インバウンドが好調を維持する。宴会の先行予約も良いため、このまま推 移すると思われる」(近畿・都市型ホテル)、「補正予算の執行に加えて、 災害復旧関連工事が本格化してくることから、今後の景気はやや良くな る」(北海道・建設機械リース)などが挙げられている。 「街角景気」の先行き見通しの好転は、消費者心理の改善などを通じて、 嶋中 雄二 景気循環研究所長 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 シニアエコノミスト 宮嵜 今後の個人消費にプラスの影響を及ぼす可能性が高い。過去を見ると、景 気の先行き判断 DI(季節調整値)の反転・上昇にやや遅れるかたちで、 消費活動が上向きに転じるケースが多く見受けられる(図 1)。今年度の 下期以降、総額 28 兆円超の大型景気対策が本格化することもあり、個人 消費は秋以降、堅調に推移するとみられる。 図 1. 景気ウォッチャー調査・先行き判断 DI と消費活動指数の推移 浩 シニアエコノミスト 03-6627-5132 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 70 (%) (DI、ポイント) 4 消費活動指数 (トレンドからのかい離、右目盛) 65 60 3 2 55 50 45 1 0 -1 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 40 35 -2 -3 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 30 25 福田 圭亮 シニアエコノミスト 03-6627-5133 景気ウォッチャー調査 景気の先行き判断DI(左目盛) -6 20 景気循環研究所 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ -4 -5 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年、四半期) (注)景気ウォッチャー調査・先行き判断DIは季節調整値、直近は16年7-8月平均値。 消費活動指数は実質・季調済、直近は16年7月値。 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」、日本銀行「消費活動指数」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 (以 上) 景気循環研究所作成 みやざき (16.9.8 宮嵜 グランキューブ 1 ひろし 浩) 2016 年 9 月 8 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、カブドットコム証券、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2
© Copyright 2024 ExpyDoc