景気循環研究所レポート ブレグジット後の「街角景気」が追加緩和を促す 2016 年 7 月 8 日 6 月の景気ウォッチャー 内閣府が 8 日に発表した 6 月の景気ウォッチャー調査によると、景気の 調査は現状・先行きとも 現状判断 DI(41.2)、先行き判断 DI(41.5)は、ともに 5 月から低下した。 に悪化 両 DI は春から年央にかけて悪化しやすいという季節性を有しているが、 季節要因を除去した DI でみても、両 DI は 6 月に低下している(図 1・2)。 ブレグジットに伴う円 高・株安を警戒 イギリスのEU離脱(ブレグジット)決定(6/23)後に実施された今回 の景気ウォッチャー調査(調査期間は 6 月 25~30 日)では、景気判断の 理由として「英国のEU離脱問題を受け、円高、株安などの消費マインド に悪影響を与える要因により、消費行動が更に鈍化すると予想される」 (南 関東・百貨店)、「訪日外国人、国内の旅行客共に、予約件数が減少傾向に ある。それに加えて、英国のEU離脱問題に伴う円高の影響が懸念される」 (近畿・都市型ホテル)など、ブレグジットに伴う円高・株安を警戒する 指摘が多く寄せられている。円高・株安が消費者心理を冷え込ませるとの 日銀「消費活動指数」の 下振れを示唆 見方は多く、景気の先行き判断 DI の内訳項目でも、自動車や家電、飲食 店などの家計動向関連項目で、DI が大幅に落ち込んでいる(図 3)。 消費者(家計)はこれまで、雇用・所得環境の改善が続いてきたにもか 嶋中 雄二 景気循環研究所長 かわらず、景気の先行き不透明感などを背景に、積極的な支出を控えてき た。日本銀行が独自に開発し、5 月から公表している「消費活動指数」は 15 年 9 月以降、長期トレンドからの下振れが続いている(図 1・4)。今回 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 シニアエコノミスト 宮嵜 浩 の景気ウォッチャー調査・景気の先行き判断 DI の低下は、消費活動指数 が今後、一段と下振れする可能性を強く示唆している(図 1)。日銀は、 ブレグジットに伴う個人消費の下振れリスク増大を根拠に、次回 7 月 28-29 日の金融政策決定会合で、追加緩和に踏み切る可能性が高い。 シニアエコノミスト 03-6627-5132 図 1. 景気ウォッチャー調査・先行き判断 DI と消費活動指数の推移 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 100 (DI、ポイント) (%) 8 90 福田 圭亮 シニアエコノミスト 03-6627-5133 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 6 消費活動指数 (トレンドからのかい離、右目盛) 80 4 70 60 2 50 0 40 -2 30 -4 20 景気ウォッチャー調査 景気の先行き判断DI(左目盛) 10 景気循環研究所 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 0 -6 -8 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年、月次) (注1)シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。 (注2)景気ウォッチャー調査・先行き判断DIは季節調整値。消費活動指数は実質・季調済。 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」、日本銀行「消費活動指数」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気 循環研究所作成 1 2016 年 7 月 8 日 図 2. 景気の現状判断 DI および先行き判断 DI の推移(季節調整値) 60 (DI、ポイント) 55 50 45 40 35 現状判断DI 先行き判断DI 30 25 20 10 11 12 13 14 15 16 (年、月次) (注)季節調整値。シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 図 3. 景気の先行き判断 DI の内訳項目の推移 62 60 58 56 54 52 50 48 46 44 42 40 38 36 (DI、%ポイント) 乗用車・自動車備品 飲食関連 家電量販店 家計動向関連 15 (年、月次) 16 (注)「家計動向関連」は内閣府季節調整値、他は当研究所季節調整値。 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 図 4. 消費活動指数の推移 110 (10年=100) 108 消費活動指数 106 104 102 100 年0.56%の 上昇トレンド (03~15年) 98 96 94 92 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (注1)シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。 (注2)消費活動指数は実質・季調済。 (資料)日本銀行「消費活動指数」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 15 16 (年、月次) (以 上) みやざき ひろし (16.7.8 宮嵜 浩) 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2 2016 年 7 月 8 日 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 3
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