「平成 28 年熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げ ますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を祈念いたします。」 景気循環研究所レポート 設備投資の先行き不透明感が強まる 2016 年 5 月 19 日 機械受注は 4-6 月期に減 少の見込み 内閣府が 19 日発表した 3 月の機械受注統計によると、設備投資の先行 指標である「船舶と電力を除く民需」は前月比 5.5%増加した。四半期ベ ースでみると、1-3 月期は前期比 6.7%増となり、昨年 12 月時点の機械メ ーカーによる 1-3 月期の受注見通し額(単純集計値)を 3.2%上回った。 ただし、4-6 月期の内閣府見通しでは前期比 3.5%減が見込まれており、 先行きは必ずしも楽観視できない。 マイナス金利と設備投資 企業収益の回復や円安といった、これまで設備投資の拡大を支えてきた 好材料は、徐々に失われつつある。こうした中、日本銀行は 1 月 29 日に マイナス金利政策の導入を決定し、金融面から設備投資を促す姿勢を打ち 出したが、現時点で金融環境の好転には至っていない。日経平均株価は依 然としてマイナス金利政策の決定前の水準を下回っており、円相場もマイ ナス金利決定前に比べ円高水準にとどまっている。マネーストックも伸び 率の鈍化傾向が続いており、なかでも広義流動性の減速が鮮明である。 カギを握る日銀の量的な 金融緩和の強化 嶋中 雄二 景気循環研究所長 マネーストックの拡大は、設備投資の増加と表裏一体の関係にある(図 1)。日銀の量的・質的金融緩和政策(QQE)は、金利低下を通じた貸出の 増加のみならず、株式や不動産などの資産市場に積極的に働きかけること によって、幅広い民間資金の拡大を促してきた。過去をみると、QQE を導 入した 13 年 4 月や、QQE を強化した 14 年 10 月には、広義流動性の増勢 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 が加速し、機械受注も反転・増加している。しかし、今年 2 月のマイナス シニアエコノミスト 量的な金融緩和の強化が、設備投資の増勢を維持するカギとなる。 宮嵜 金利導入後も、広義流動性の減速に歯止めがかかっていない。日銀による 浩 シニアエコノミスト 03-6627-5132 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 図 1. 広義流動性は機械受注に先行する 220 200 (10年=100) (前年比、%) マネーストック(広義流動性、右目盛) 4 180 福田 圭亮 160 シニアエコノミスト 03-6627-5133 140 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 2 内閣府見通し 80 -4 -6 機械受注(船舶・電力を除く民需、左目盛) 60 景気循環研究所 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 0 -2 120 100 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 6 -8 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年、四半期) (注)マネーストックの直近は16年4月。 (資料)内閣府「機械受注統計調査報告」、日本銀行「マネーストック」をもとに 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 (以 上) みやざき ひろし (16.5.19 宮嵜 1 浩) 2016 年 5 月 19 日 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2
© Copyright 2024 ExpyDoc