製造業の在庫調整圧力は大幅に後退

景気循環研究所レポート
製造業の在庫調整圧力は大幅に後退
2015 年 12 月 4 日
10 月の景気一致指標は総
10 月の国内主要景気指標がほぼ出揃ったが、総じて景気の持ち直しを
示唆する内容だった。鉱工業生産指数や鉱工業生産財出荷指数など、景気
じて改善
動向指数(CI)
・一致指数に採用されている指標の多くは 10 月に改善の動
きを示している。今年の春先から半ばにかけては、一部の景気指標で軟調
な動きも見受けられたが、夏場以降は再び持ち直しの動きが広がった。半
面、CI・先行指数の採用系列をみると、新設住宅着工床面積やマネースト
ックなどで悪化が続いており、景気の先行きにやや不透明感も残る。
出荷・在庫バランスは景
気後退の回避を示唆
一方、7-9 月期の実質マイナス成長の主因にもなった在庫調整圧力は、
大幅に後退している。9 月以降、製品在庫指数の減少が続く中、鉱工業出
荷指数が増加に転じており、同出荷指数の前期比伸び率から同在庫指数の
同伸び率を差し引いた「出荷・在庫バランス(前期比ベース)」は、7-9
月期にプラスに転じた。直近 10 月も、7-9 月期との比較で出荷・在庫バ
ランスが一段と改善している(図 1)。2000 年以降、出荷・在庫バランス
(前期比ベース)が 3 四半期以上続けてマイナスとなった局面では、いず
れも景気後退が発生しているが、今回のように 1 四半期のみのマイナス局
面では、例外なく景気後退を回避している。さらに、出荷・在庫バランス
嶋中 雄二
景気循環研究所長
鹿野 達史
景気循環研究所副所長
シニアエコノミスト
宮嵜
を下回っていない。今回の在庫調整局面は短期かつ軽微にとどまり、景気
の底割れは回避した可能性が高い。
図 1. 在庫調整圧力は軽微にとどまる
16
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
圭亮
製造業PMI(右目盛)
4
54
0
50
-4
46
42
-8
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
-16
景気循環研究所
62
58
-12
東京都千代田区丸の内 2-5-2
66
8
シニアエコノミスト
03-6213-2608
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
(「改善・増加」+「変化なし」×0.5、ポイント)
(%ポイント)
12
浩
シニアエコノミスト
03-6213-6573
福田
と連動する製造業 PMI も、四半期ベースで、景況判断の分水嶺となる 50
出荷・在庫バランス
(前期比ベース、左目盛)
38
34
30
-20
00
02
04
06
08
10
12
14
16
(年、四半期)
(注1)シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。
(注2)出荷・在庫バラ ン ス(前期比ベース)=鉱工業出荷(前期比) - 製品在庫(前期末比)。
(注3)製造業PMI( 日本の日経PMI(製造業購買担当者景気指数))は、「改善・増加」の回答率に「変化なし」の回答率の半数を 加えて算出。
以下の5つの指数を 加重平均:新規受注数 (30%)、生産高 (25%)、雇用 (20%)、サプ ラ イ ヤー納期 (15%) 、購買品在庫 (10%)。
(資料)経済産業省「鉱工業指数」、日本経済新聞社「Nikkei日本の日経PMI」を もとに三菱 UFJモルガン ・スタン レー証券景気循環研究所作成
三菱ビルヂング
(以
上)
みやざき
ひろし
(15.12.4 宮嵜
1
浩)
2015 年 12 月 4 日
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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
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