平成 28 年熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げま すとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を祈念いたします。 景気循環研究所レポート 景気循環研究所の 金融政策展望(4/27・28、日銀決定会合) 2016 年 4 月 25 日 追加緩和の予想 日本銀行は、4 月 27-28 日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を決 定する可能性がある。原油増産凍結に向けた産油国会合(4 月 17 日)が 合意に至らなかったことや、九州地方で断続的に発生している地震(平成 28 年熊本地震)の甚大な被害状況が明らかになったことなどを受けて、 金融市場では、4 月の中旬にかけて円高・株安・原油安が進行した。足元、 市場は落ち着きを取り戻しているものの、今後、自動車・半導体などメー カーの減産と併せて、金融市場の不安定化が実体経済を下押しするリスク は無視できない。 下げ止まらない期待イン フレ率 一方、日銀が 1 月 29 日にマイナス金利政策を導入したにもかかわらず、 期待インフレ率の低下に歯止めがかかっていない。日本銀行「生活意識に 関するアンケート調査」 (16 年 3 月調査)の結果をもとに当研究所が推計 した、家計の期待インフレ率は、短期(今後 1 年間) ・長期(今後 5 年間) とも、前回 12 月調査の水準を下回った。日銀「短観」(16 年 3 月調査) マネタリーベース増額へ でも、企業の期待インフレ率(5 年後)は、前回 12 月調査に比べ 0.2%ポ イント低い 1.2%となっている。企業および家計のデフレマインドの転換 嶋中 雄二 景気循環研究所長 が遅れるリスクは一段と増大しており、追加緩和の必要性は一段と高まっ たと判断できる。 当研究所は、追加緩和の手段として、国債および ETF 等の買入増額や買 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 入対象資産の拡大(地方債、政府関係機関債)などを中心に、マネタリー シニアエコノミスト ベースの増加目標を現行の年 80 兆円から年 90 兆円超へと 10 兆円以上増 宮嵜 額すると予想している。加えて、震災対応など重点分野における融資の利 浩 シニアエコノミスト 03-6213-6573 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 福田 圭亮 シニアエコノミスト 03-6213-2608 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に 基づき、宮嵜・福田が執筆を担当 しています。 ざやを適正化する観点から、「貸出支援基金」の適用金利をマイナスに引 き下げる可能性がある。なお、日銀当座預金の「政策金利残高」部分に適 用されるマイナス金利(▲0.1%)の引き下げについては、金融機関のシ ステム対応等に混乱を招きかねないとの配慮から、当面は見送られよう。 今回の決定会合で、量的緩和を軸とした追加緩和が実施された場合、市 場では円安・株高の動きが強まるとともに、景気の下振れリスクは低減し よう。半面、追加緩和が見送られた場合には、市場が事前に追加緩和を相 当程度織り込んでいるとみられるだけに、市場では円高・株安が進行し、 景気の下振れリスクは増大するとみられる。 景気循環研究所 (以 東京都千代田区丸の内 2-5-2 (16.4.25 三菱ビルヂング 1 みやざき 上) ひろし 嶋中 雄二・宮嵜 浩 ) 2016 年 4 月 25 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2
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