景気循環研究所レポート 物価目標 2%の早期実現は困難に 2015 年 4 月 1 日 日本銀行が 4 月 1 日に発表した「全国企業短期経済観測調査(短観) 」 業況見通しが悪化 (15 年 3 月)によると、3 月の大企業の業況判断 DI は製造業(+12)で横 ばい、非製造業(+19)では 2 ポイント上昇したが、先行き DI は製造業 (+10)・非製造業(+17)ともに低下した。中堅・中小企業を含めた全規 模合計でみても、先行きの業況判断 DI は製造業・非製造業ともに低下し ている。15 年度の収益計画についても、大企業の経常利益は前年比 0.6% 増にとどまっており(14 年度実績見込みは同 4.3%増)、特に年度の上期 には前年同期比で 1.9%減少する見通しとなっている(下期は同 3.4% 増)。多くの企業が、先行きの収益環境を慎重にみている模様だ。 販売価格 DI は横ばい圏 一方、販売価格に対する企業の見方は、これまでとほぼ変わっていない。 大企業の販売価格判断 DI は製造業で低下、非製造業では上昇と、まちま ちの動きとなったが、先行き DI は小幅ながらともに上昇している。中小 企業においても、大企業とほぼ同様の動きとなっている。原油など資源相 場の急落を受けて、足元の仕入価格判断 DI は企業規模や業種にかかわら ず大幅に低下しているが、販売価格判断 DI は比較的底堅い。 もっとも、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合=コア CPI)に先行す 嶋中 雄二 景気循環研究所長 る「中小企業の販売価格判断 DI(素材業種)」の最近の動きをみる限り、 日本銀行が目指すインフレ率 2%の早期達成は困難な状況といわざるを 得ない(図 1)。今回の日銀「短観」は、物価目標 2%の早期達成を目指す 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 日本銀行に、追加の政策対応を促す内容といえる。 図 1. コア CPI 前年比に先行する中小・素材の販売価格 DI シニアエコノミスト 宮嵜 20 浩 シニアエコノミスト 03-6213-6573 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp (前年比、%) (「上昇」-「下落」、%ポイント) 2%ライン 10 コアCPI(右目盛) 3 2 予測 0 1 圭亮 -10 0 シニアエコノミスト 03-6213-2608 -20 -1 福田 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 中小企業・素材業種の 販売価格判断DI(左目盛) -30 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 -40 -3 05 景気循環研究所 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング -2 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年、四半期) ( 注1)調査 対象企 業見直 しに伴 う販売 価格判 断DIの 段差( 14年 12月調査 )を当 研究所 にて調 整。 ( 注2)コアCPIは 消費税 率引上 げの影 響を除 く。直 近は 15年1-2月平 均値。 ( 資料) 日銀「 短観」 、総務 省「消 費者物 価指数 」をも とに三 菱UFJモル ガン・ スタン レー証 券 景気循 環研究 所作成 (以 上) みやざき ひろし (15.4.1 宮嵜 1 浩) 2015 年 4 月 1 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2
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