外貨投資の視点 (No.197) - 三菱UFJ証券 - 三菱UFJフィナンシャル

外貨投資の視点
(No.197)
リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作
2015年1月6日
ユーロドル相場:8年10ヶ月ぶり安値圏突入の背景と今後
ポイント
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年末年始の為替市場でユーロドル相場が一段と下落、一時1.18ドル台と8年10か月ぶりの安値圏に軟化。
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ユーロドル相場予測を下方修正するのに平仄を合わせ、ドル円相場の予想も最大1円50銭程度上方修正。
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2016年末のユーロドルの下値目処は1.130ドル、ドル円の上値目処は126円50銭。緩やかなドル高が継続。
再燃するギリシャ債務問題とユーロ離脱観測が引き金だが、本筋のテーマは「欧米金融政策の印象格差」。
ユーロドル相場が大幅に
下落、一時約 8 年 10 か月
ぶりの安値を記録
年末年始の外国為替市場で、ユーロドル相場が大幅に下落する展開になっている。ク
リスマス・ウィークが明けた29日(月)以降、ユーロドル相場は、寄り引けほぼ同値線を刻ん
だ12月30日(火)と控えめな陽線を記録した1月1日(木)を除くと6営業日中4営業日で終
値ベースの安値を更新、5日の東京市場早朝の時間帯には節目の1ユーロ=1.2000ドル
も割り込み、一時1ユーロ=1.1864ドルと2006年3月10日以来、約8年10か月ぶりの水準に
差し込む場面があった。
年末年始に観察されたユ
ーロ崩落現象の背景
その後はさすがにショートカバーも入り、本稿を執筆している6日の14:00時点では1ユ
ーロ=1.1950ドル前後で取引されているが、師走から年明けにかけてのユーロドル相場
で猛威を振るったユーロ安ショックの余韻が残り、上値の重たい雰囲気が蔓延している。
年末年始に観察されたユーロの崩落現象をもたらした主な背景を時系列で並べると、以
下の通りとなる。
ギリシャ総選挙では緊縮
財政見直しを訴える急進
左派連合が政権獲得へ
①12月29日(月)のギリシャ議会での大統領選出最終投票が不調に終わり、1月25日
(日)に実施されるギリシャの総選挙で欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)・欧州中央
銀行(ECB)のトロイカから金融支援の代償として課せられている緊縮財政の見直しを主
張する急進左派連合(SYRIZA)を中核とする新政権誕生の見込みが強まっている。
大晦日のロンドン値決め
で大規模なドル買い
早期の国債購入開始を示
唆するドラギ ECB 総裁
②12月31日(水)の海外市場で日本時間25:00のロンドン・フィキシングに向けて「大規
模なドル買いが持ち込まれている」との噂が流れ、ユーロドル相場が大幅に軟化した。
③1月2日(金)の独経済専門誌ハンデルスブラッドとのインタビューでドラギECB総裁
が「物価安定の責務を果たせないリスクが半年前より強くなっている」との認識を示した上
で、「2015年初の時点で、これまで諸々の措置の規模・速度・構成を変更するための技術
的な準備段階にあり、この点で理事会は全会一致している」などと発言、早期の国債購入
開始を含めた追加緩和の可能性を強く滲ませる発言をした。
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