外貨投資の視点 (No.205) リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作 2015年2月27日 ドル円相場:2015年2月の回顧と3月以降の中長期展望 ポイント 2月のドル円相場は116円台では底堅い一方、120円台では上値が伸びず、方向感に乏しい展開に 3月期末の終値は、次回FOMCの結果次第でブレそうだが、趨勢的なドル高・円安の大局観は不変 米利上げ開始後に鮮明になる日米金融政策の違いを背景に、いずれ120円台後半睨みの空中戦へ 2 月のドル円相場~上旬 は、117 円前後の下値を 固めた後、良好な米経済 指標で 119 円台に復帰 2月のドル円相場は116円台では下値が堅い一方、120円台では上値が重く、方向感の 出にくい展開となっている。月初来の動きを振り返ると、上旬は下値を固めて急伸。週明 け2日に117円45銭で寄り付いた後、東京未明の時間帯に一時116円66銭まで差し込む 場面もあったが、この水準では底堅い。翌3日から5日にかけては米1月雇用統計を控え た持ち高調整に終始、116円80銭台~118円00銭までの極小レンジで保ち合ったが、6日 に発表された非農業部門雇用者数と時間当たり賃金がいずれも市場予想を上回るとドル 買い・円売りが加速、一時119円22銭まで急騰した。週明け9日にギリシャ債務交渉の難 航が嫌気されて米国株が軟化すると一時118円33銭台まで下落したが、118円50銭を割り 込むと下値が堅い。10日の東京市場で「ゴトウ日のドル買い観測」が意識されると反転、 同日のNY市場で米国株価が反発して米2年国債利回りが上昇すると米日金利差の拡大 を意識したドル買い・円売り圧力が強まり、一時119円62銭と月初来高値を更新した。 2 月のドル円相場~中旬 は、120 円台に続伸した 後に反落、118~119 円 台で一進一退 中旬のドル円相場は続伸後に反落。11日の朝方は東京市場祝日のため119円台での 様子見が続いたが、中国株や米国株が上昇すると市場心理が改善、一時120円48銭ま で吹き上がって1月5日以来の120円台に復帰した。ただ、12日に一部通信社が「日銀内 部で追加緩和による円安は逆効果との見方が浮上」との記事を配信すると、約5分間で▲ 1円50銭超の円高が進んで118円74銭まで急落、同日夜に発表された米経済指標の冴え ない結果も嫌気され、13日には118円42銭まで続落した。週明け16日の早朝に断続的な ドル売り仕掛けが炸裂すると118円18銭界隈に急落する場面もあったが、東京勢の本格 参入が始まると反発、17日にギリシャ債務協議への懸念が緩和すると米2年国債利回りが 上昇して119円台を回復した。18日の定例会見で黒田日銀総裁は「日銀の変心疑惑」を 否定したが、早期追加緩和の必要性も否定したため、市場への影響は限られた。同日夜 に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が「早期利上げに慎重な内容」だ と解釈されると翌19日にかけて一時118円44銭まで下落する場面もあったが、同日の東京 市場で平均株価が約14年9か月ぶりの高値圏に上昇したことが好感されると119円台を回 復。20日のユーロ圏財務相会合でギリシャ債務交渉の難航が嫌気されると再び118円30 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 -1- 外貨投資の視点 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒112-8688 東京都文京区目白台3-29-20 目白台ビル 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 リサーチ部 (商号) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2336号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA), Inc.が配布致します。 - 13 - 外貨投資の視点
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