設備投資回復のすそ野が広がる

景気循環研究所レポート
設備投資回復のすそ野が広がる
2015 年 2 月 12 日
機械受注が増加
設備投資の先行指標が堅調に推移している。内閣府が 2 月 12 日に発表
した機械受注統計によると、14 年 10-12 月期の「船舶・電力を除く民需」
は、前期比 0.4%増加した(図 1)。増加幅は 7-9 月期の 5.6%から縮小し
たものの、機械メーカーへのヒアリングをもとに内閣府が算出した 12 月
下旬時点の受注見通しでは、15 年 1-3 月期は 1.5%増と再加速が見込まれ
ており、設備投資の順調な回復ぶりがうかがえる。
内閣府の受注見通し
業種別にみると、製造業は 15 年 1-3 月期に前期比 2.1%減の見通しと
なっている。これは内閣府の見通しが、機械メーカー自身の見通しに、直
近 3 四半期の平均見通し達成率(95.0%)を乗じて算出されているためだ。
円安が定着する中、生産拠点の「国内回帰」を進める製造業が相次いでい
ることもあり、製造業の受注は 1-3 月期に増加する可能性が高い。一方、
非製造業(船舶・電力を除く)では、1-3 月期に 5 四半期ぶりの受注増が
見込まれている(前期比 4.9%増)。直近 3 四半期の平均達成率(98.8%)
を乗じなければ、1-3 月期の増加幅はさらに広がることになる。
機械設備と建物設備
最近の機械受注は、企業が保有する「機械設備」への投資意欲の強まり
を示しているが、店舗や事務所などの「建物設備」にも増設・拡張などの
ニーズが強まりつつある。多くの企業が入居するオフィスビルの空室率
は、建物設備の稼働状況を示す有力な指標だ。三鬼商事が 12 日発表した
15 年 1 月の東京ビジネス地区のオフィスビル空室率は 5.36%まで低下し、
嶋中 雄二
景気循環研究所長
宮嵜
は、オフィスビル建設投資の強い追い風となる。設備投資回復のすそ野は、
着実に広がりつつあるといえよう。
浩
シニアエコノミスト
03-6213-6573
miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp
福田
09 年 1 月以来 6 年ぶりの低水準を記録した(図 1)。オフィス需給の改善
圭亮
シニアエコノミスト
03-6213-2608
fukuda-keisuke@sc.mufg.jp
本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ
き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。
図 1. 設備投資の先行指標
(10年=100)
(%)
-2
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
オフィスビル空室率(左逆目盛)
200
180
160
140
120
100
機械受注(右目盛)
80
98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
景気循環研究所
東京都千代田区丸の内 2-5-2
三菱ビルヂング
)
(注1)シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。12年4月の山と同年11月の谷は暫定日付。 (年、四半期
(注2)空室率は東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)、新築+既存。直近は15年1月。
機械受注は船舶・電力を除く民需、直近15年1-3月期は内閣府見通し。
(資料)内閣府「機械受注統計」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
みやざき
(以
(15.2.12 宮嵜
1
上)
ひろし
浩)
2015 年 2 月 12 日
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