症状である。本稿では、最近経験した自験例をとが少なくない。また、本人にとってもつらいとなり、対応に苦慮して医療機関を受診するこＤは介護者にとって介護負担を増大させる原因 toms of Dementia：ＢＰＳＤ︶が現れる。ＢＰＳ界で生活しているかのような感じを受ける方もまた近時記憶が著しく障害されて遠隔記憶の世が進行してくると、場所の見当識が障害され、た家に帰ると言う人が多い。アルツハイマー病るのか？﹂と尋ねると、子供の頃に生活していルツハイマー病患者は少なくない。﹁どこに帰 31 Behavioral and Psychological Symp- 通して、アルツハイマー病でみられる帰宅願望つ、妄想、徘徊、昼夜逆転など多くの精神症状様々な生活障害がみられる。また、不安や抑う実行機能といった認知機能の障害によって、せていただきます﹂と言って帰り支度をするアもかかわらず、﹁もうこれくらいにして、帰ら施設に入所している、自宅で生活しているに帰宅願望や行動障害︵ CLINICIAN ’12 NO. 608 ∼ 夕暮れ症候群 ∼ アルツハイマー病では、近時記憶や見当識、はじめにともの盗られ妄想について考えてみたい。帰宅願望ともの盗られ妄想認知症のパラダイムシフト認知症の人の生活を知る谷向知（３５７）し、１週間を過ぎたあたりから、他の利用者を入所して、数日は穏やかに過ごしていた。しか服薬管理が行えないために施設入所となった。さんがいないため独居していたが、火の始末や︻︵頃をと害少症に始が︶な例よめわがく︼くるかみな７０み。ららい歳とずれ。らく、るま代れになたた、る、じめ、女性︶ここみに人ととれの、物呼からあ配のばらのる偶誤れ、症場者認る夕状所や︵。暮はへ子人日の供のれが帰で見症傾りあ当候い支る識群た度こ障はいたって穏やかに聞いている。その後、どうように施設内の出来事を訴える。その間、本人が通常であるが、同伴した職員がせきを切った設職員に付き添われ来院。本人から話を聞くのり、施設内対応が困難なため、入院希望する施叩いたり、施設職員に杖を振りまわすようにな人が少し話を聞いてくれるようになった﹂とのとが少なくなった﹂、本人からは﹁スタッフの受診時には、施設職員からは﹁急に怒り出すこことをお願いして、初診は終了した。１週後のめにはまず本人に理由を尋ねる﹂﹁会話を持つ﹂設職員に﹁本人の気持ちを理解する﹂﹁そのたのがさ立気屋者に亡日に以入こ故れっ持でがなくを入下院と、るてちい訪るな眺っのの。追のくもいね。っめたよいでるわねてそたて。う必払、のか﹂きん両い夕な要う施だら﹁てな親る日返がた設とな羨、と、とが事あめ職言いま﹁こ故ふよでるに員うでし夕ろ郷とくあと杖が。 ⋮ い日にを自見っはを入こと﹂が、思分えた判振っうなとき施いのる。断りていぜ言れ設出幼部施せまくうだわい職しか屋設ずわるこかれに員感っだ入、しのと無る見や傷たと所同てをが性とえ他的頃言し伴い嫌繰に、るのなのうてしたがり腹私お利気こ。個たとる返がの部用分と夕室施、（３５８）ごく軽度のアルツハイマー病で、兄弟やお子 Sundown Syndrome して杖を振りまわすのか本人に尋ねてみると、 CLINICIAN ’12 NO. 608 32 !妄想を呈したアルツハイマー病５３例でみられる妄想内容アルツハイマー病で妄想がみられた５３例の NPI（Neuropsychiatric Inventory）「妄想」の下位質問による（文献１より）は増大する。もの盗られ妄想は、身の回りＡＤ 33 かわっている人が患者から非難され、介護負担産に関係するものが多い。また、一番本人にかられるものは、お金、財布、通帳、印鑑など財多いのが、もの盗られ妄想である︵図 ! ︶。盗アルツハイマー病でみられる妄想の中で最ももの盗られ妄想らせる場所になっていくことを期待したい。 CLINICIAN ’12 NO. 608 どの環境調節を行い、本人にとって安心して暮ちを察して接し、居室になじみのものを置くなから施設職員が会話や状態観察から本人の気持るようになる可能性が高いと考えられる。日頃う感情が呼び起こされ、帰宅願望が強くみられきる﹂〝お家に帰ろう〟〝お家に帰りたい〟といんに心配かけないように﹂﹁自分が一番安心でれ時にはノスタルジックな気分から、﹁お母さ当識障害が進行していくことが予想され、夕暮ことであった。今後、近時記憶障害や場所の見（３５９）が、﹁歳のせい﹂と言い、病識は低下している。よくものを捜すことが多くなったことは認めるたため受診してきた。最近、置き忘れがあって、か消退しない。アルツハイマー病では、情動をは異なり、抗精神病薬を用いても症状はなかなう言葉が使われているが、統合失調症の妄想と（３６０）った﹂ともの盗られ妄想がみられるようになっろ、３カ月ほど前から﹁あんたが私の財布を盗ようになった。嫁がその都度注意していたとこ買ってきたり、曜日を間違えてゴミ出しをする買い物に行っては冷蔵庫にたくさんある豆腐をから物忘れが出現した。症状は次第に進行し、夫と死別して、長男夫婦と同居。２年ほど前︻なハし因おみるＬ症いイかでいらこの例。マしあたれと低ー、るもるが下︼病ひたのこ多が７０のとめをといあ歳人り、見が。ま代もで近つわまり、お終時けがた目女り日記ら国、立性、財憶れの欧たそ布障な特米なれを害い徴といだ捜のこで異比けし関とあな較でて与がるり的はいは根。女初説る大本し性期明アき的まににでルいなっ多現きツ。原てくれこのように、もの盗られ妄想は﹁妄想﹂とい張りなので最近は言わない﹂とのことであった。ぱりなくなる。言っても﹃私じゃない﹄の一点近財布は大丈夫ですか？﹂と尋ねると、﹁やっであったが、嫁が席をはずしている間に、﹁最ると﹁盗られた﹂とは言わなくなったとのこと開始した。２カ月ほど経過した時点で、嫁によラーゼ阻害薬とごく少量の非定型抗精神病薬を嫁の疲弊が強かったためアセチルコリンエステにきつく注意しないように指導するとともに、向けられることを説明し、本人が失敗したとき妄想は介護を一番一所懸命にしている介護者にが隠しといて﹂と小声でつぶやく。もの盗られと言う嫁の言葉を聞きながら、本人は﹁あんた﹁一緒に捜すと布団の間から出てきたりする﹂ CLINICIAN ’12 NO. 608 ﹁最近、財布が見つからないと私のせいにする﹂ 34 !もの盗られ妄想が形成される背景述べた。ＢＰＳＤがみられる背景には了解可能 35 ら、帰宅願望ともの盗られ妄想について簡単にアルツハイマー病でみられるＢＰＳＤの中かおわりにとが重要であると伝えている。れても本人をできるだけ叱らない努力をするこ余裕を持って対応していただき、失敗などみらわっている証しであること﹂をあらかじめ伝え、 CLINICIAN ’12 NO. 608 の対象にされるのは、本人に一番精力的にかかの盗られ妄想が現れる前に、介護者には﹁妄想ていくのではないかと考えられる︵図 ! ︶。もた嫌な記憶だけが残り、もの盗られ妄想が育っとその人の仕業に違いない！﹂という断片化しれた﹂﹁自分に不都合なことが起きたが、きっで、﹁この人︵嫁︶に気分を害することを言わとを考えると、患者本人を注意、叱責すること記憶に残りやすいことが知られている。このこ揺さぶられる出来事は、普通の出来事に比べて（３６１）勲准教授︶ Ikeda, M., et al. : Delusions of Japanese patients with Alzheimer’s disease. Int. J. Geriatr. Psychiatry, 18, 527532 (2003) ：脳とこころの医学痴呆老人にみられるもの盗られ妄想につ Kazui, H., et al. : Impact of emotion memory. Controlled study of the influence of emotionally charged material on declarative memory in Alzheimer’s disease. Br. J. Psychiatry, 177, 343-347 (2000) 36 CLINICIAN ’12 NO. 608 （３６２）なものも少なくない。まずは、介護者本位の介入や解釈を行うのではなく、症状の理解に努め、非薬物的な対応から開始することが重要であることは言うまでもない。︵愛媛大学大学院医学系研究科１）文献２）小澤９病い７態て︶の ! 違性い別、、精疾神病経診雑断、別９９随、伴３率７と０痴 ∼ 呆３の８時８期︵に１よ９る３）