胃カメラ検査を安全に行いたい - e-CLINICIAN

◎胃カメラ 検 査 を 安 全 に 行 い た い
胃カメラ検査を安全に行うための前処置、検査
時の注意 点 を 教 え て く だ さ い 。
また最近は検診のため、極細径のファイバーを
用いることもあるようですが、長所・短所などご
教 示 く ださい。HIV、 H C V の 点 か ら 消 毒 法 に
ついても併せてご教示ください。
︵京都市、内科︶
回答東京都立駒込病院内視鏡科医長 榊 信廣
内視鏡検査についての安全性は、検査行為およ
過敏症の有無をきくだけでは不十分です。生検や
内障や前立腺肥大、虚血性心疾患や不整脈、薬剤
マロリーワイス裂傷など検査に伴う出血が予測さ
れますので、血液疾患や、抗凝固剤の内服などの
確認も必要です。さらに、内視鏡の経験回数や印
象をきいて、恐怖感など患者の心理状態を把握し
ておくことも大切です。
私達の施設では、HBV、HCV、梅毒反応を
術前検査として施行し、別の内視鏡を用いていま
すが、このような感染対策のための感染症の有無
鎮痙剤またはグルカゴンを選択しますが、病状
前処置
の再確認も必要です。
れている先 生 を 想 定 し て 、 胃 内 視 鏡 検 査 の 手 順 に
考 え る 必 要があります。こ こ で は 、 個 人 で 検 査 を さ
によっては何も使わない場合もあります。不安感
び前処置に伴う偶発症および感染予防の両面から
したがって、注意点を述べていきたいと思います。
安全な内視鏡検査のためには、患者の状態の把
問診
使用が必要です。咽頭麻酔に用いる塩酸リドカイ
が、偶発症の主な原因でもありますので、慎重な
ムやヒドロキシジンといった抗不安剤を用います
の強い患者や内視鏡治療などの場合は、ジアゼパ
握が大切です。問診時は、 鎮 痙 剤 の 禁 忌 で あ る 緑
CLINICIAN’95No.44330
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起こすことがあります。前処置段階から患者の状
ンでは、 シ ョ ッ ク や 過 敏 症 状 な ど 重 篤 な 副 作 用 を
示して諸注意を行い、終了とします。
内視鏡抜去後は、患者の状態を確認して、 文書を
態を十分に観察しておくと共に、万が一に備えて
内視鏡の洗浄
術者は内視鏡所見のみに注目するだけでなく、
要があります。また、画質は悪くなります。
気管への誤挿入に注意するなど操作に習熟する必
鏡と変わりませんが、スコ ー プ が 柔 ら か い た め に 、
小回り能力は優れていま す 。 基 本 的 に は 細 径 内 視
質問の極細径の内視鏡では、さらに苦痛は少なく、
日常検査のために最も適した機種と考えます。ご
を利用した操作により盲点のない観察が容易で、
少なくするだけでなく、先端部分の小回りのよさ
視鏡が一般的に用いられています。患者の苦痛を
現在、外直径が九㎜前後の直視式の細径汎用内
検査
D山田義也ら”○器q8耳R9﹃6あ∩﹄る弾器き︵這旨︶
文献
思われます。
Vに比べて感染力が弱いと考えられるので、HB
の
Vを念頭においた洗浄法を用いれば問題はないと
っていますが、一般的にはHIVやHCVはHB
HIV感染患者に対しては特別な感染対策をと
せん。
要でありますが、まだ一定のマニュアルはありま
りかえると共に、鉗子口を中心に十分な洗浄が必
設により様々です。生検鉗子などは各患者毎にと
きな問題になっています。しかし、その対応は施
くに注目を浴びており、内視鏡の洗浄・消毒は大
救急機器を整備しておく必要があります。
患者の状態に注意を払いな が ら 検 査 を 行 い ま す 。
⑳神保勝一”日医会誌、一〇六、一些二 二九九一︶
ピロリ菌の経内視鏡感染が報告されてから、と
緊急事態にそなえるためにも、介助者が必要です。
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