平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書 学科・資格 社会福祉学科・教授 申請者氏名 川村 宣輝 研 究 課 題 研究目的 お よ び 報 研究概要 告 研 究 の の 結 果 概 要 研 究 の 考 察 ・ 反 省 研究発表 学会名 発表テーマ 年月日/場所 研究成果物 テーマ 誌 名 巻・号 発行年月日 発行所・者 ㊞ わが国の障害者雇用における差別禁止と合理的配慮の在り方に関する研究 国連の障害者権利条約の批准に向けた法整備の一環として障害者差別解消法が成立したところである が、労働・雇用分野においても障害者雇用促進法が一昨年度に改正され、雇用場面における障害者差 別の禁止や合理的配慮の提供が今後わが国においても求められることになった。ただ、差別禁止や合 理的配慮については具体的な指針が示されておらず、今後具体的なガイドラインを検討し、障害者雇 用施策の中にどのように反映させていくが課題となっている。こうしたわが国の障害者雇用をめぐる 動向を踏まえ、今後のわが国の障害者雇用における差別禁止や合理的配慮の具体的な在り方と課題に ついて、障害者の権利問題を先進的に取り組んでいる英国・米国等の諸外国の取り組みをヒントとし て考察する。 一昨年の障害者雇用促進法の改正により、新たに差別禁止や合理的配慮の提供が盛り込まれ、こ れに伴い労働・雇用分野の具体的な法律の整備が進められている。障害を理由とする雇用差別の 禁止や職場における合理的配慮の提供について、今後は実際の企業の採用・雇用場面において、企 業側の適切な対応が求められることになる。障害者雇用において、どこからが雇用差別に該当す るのか、また合理的配慮の提供範囲の基準設定等、具体的な指針案が先般提示されたところであ るが、障害者雇用促進法と障害者差別解消法における障害者の定義の違い等整理すべき点が散見 される。また、合理的配慮の提供については、職場環境の改善等において企業側に経済的な負担 を生じることも予想されるが、その財源(雇用納付金等)の問題についても具体的な検討課題と なろう。 障害者雇用における差別禁止や合理的配慮の提供については、わが国においてはあまり馴染みの ないものであり、雇用する企業側の認識もこれまで希薄であった。障害者の雇用・就労の際に、こ うした新たな視点が加わることにより、今後は障害者雇用の在り方が大きく変化してくるものと 思われる。近年、障害者雇用施策の整備・充実や企業側の CSR 等により、採用される障害者数が精 神障害者をはじめとして年々増加してきている。差別禁止や合理的配慮を取り入れていくことは、 わが国の障害者雇用施策において、量的な向上のみならず質的な向上を今後図っていくための大 きな契機となろう。こうした点に注目しながら、具体的な企業現場の視点から今後も継続して検 証していきたい。 ※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項について御記入ください。
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