平成２６年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書 研 究 課 題 研究目的 お よ び 報 研究概要 告 研 究 の の 学科・資格 教育学科・助手 A 申請者氏名 松岡 侑介 ㊞ 教育における動機づけの方法原理に関する哲学的考察（続） ～行動傾向の複数性と葛藤に焦点をあてて～ 教育学において、「動機づけ」は重要なテーマとして膨大な研究蓄積があり、様々な教授法の実践理 論が提唱されてきた。しかしそれらは、過度に技術論的な議論に偏っており、それら各々に通底する 原理の解明を試みる研究は未だあまりなされていない。 前年度に引き続き、動機づけの方法原理を哲学的な視点から考察する。複雑な条件・要素が絡み合 う具体的な教授学習場面においては、総合的な視点で個々の動機づけの教授法を併用したり、組み合 わせて新たな方法を開発する必要がある。そのような作業を首尾よくすすめるにあたって、個々の方 法技術（論）を束ねるより原理性の高い上位理論を整備することは非常に有益であると考えられる。 直接的には、行動傾向の複数性とそれらの葛藤を解決する原理を編むことを課題とし、上記の研究目 的に迫っていきたい。 上記の研究目的・課題にかかわって、従来の教育心理学の動機づけ研究には見られなかった「競 合する選択肢」の視点を導入すべくジョン・デューイの「実践的熟慮」の拡張的な展開過程の検 討を行った。 その結果、デューイの「実践的熟慮」においては、人間の反省的活動が、行動レベルと願望レ ベルの二つの位相において複数の「競合する選択肢」をその領野で取り扱いながら進行していく ものとして捉えられていることが明らかとなった。 概 結 果 要 研 究 の 以上の研究結果は、これまで単体の行動の動機づけを専らその行動に内在する要因ないしは関 係する要因のみによって説明してきた教育心理学に、「競合する選択肢」という新たな視点を与 え、より広い視野から人間の動機づけを捉え実証的に究明していく方向性を示唆するものと考え られる。 考 察 ・ 反 省 ※この欄は，本報告書提出時点で判明している事項について御記入ください。 研究発表 学会名 発表テーマ 年月日／場所 研究成果物 テーマ 誌 名 巻・号 発行年月日 発行所・者 「動機づけにおける『競合する選択肢』 ―デューイの『実践的熟慮』の拡張的展開に着目して―」 日本大学教育学会『教育学雑誌』第 50 号、2014 年、47～61 頁
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