平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書

平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書
所属・資格 情報科学研究所・准教授
申請者氏名 小林 貴之
研
究
課
題 テクネチウムの核データ測定とその利用
研究目的
および
報
研究概要
告
研 究
の
の
結 果
概
要
研 究
の
考 察
・
反 省
印
半減期などの核データは地球・宇宙科学から原子力までの様々な学問分野における基礎データで
ある。また原子番号43番のテクネチウムは半減期が短いため、人工的に合成された物以外には地
球上には存在していない。このためテクネチウムは年代測定や原子力施設からの放出モニターリ
ングや核医学等に利用されてきた。
本研究ではテクネチウムの半減期等核データの精度を向上させると共にテクネチウム有効利用法
について検討する。このため京都大学原子炉等を用いてテクネチウムの製造や定量方法の検討を
行う計画である。
精度の良いテクネチウム 98 の核データを得るため、京都大学原子炉実験所に設置されている
ICP-MS を用いて既存テクネチウム 98 線源の原子数測定を行った。原子数測定用トレーサと
して天然モリブデン金属箔を京都大学原子炉実験所の原子炉にて中性子照射し、モリブデン
99 を製造した。さらにモリブデン 99 から壊変生成物として得られたテクネチウム 99m は
TEVA 樹脂等を用いて化学分離によって精製した。得られたテクネチウム 99m をトレーサと
して用いテクネチウム 98 の原子数を決定し、これまでより精度の高いテクネチウム 98 の半
減期を求めることが出来た。
テクネチウム 99m トレーサ生成とテクネチウム 98 精製のため、検討した化学分離方法は各
種試料中からテクネチウムの抽出・精製に応用できるので、今後環境中のテクネチウム定量
を計画している。
また新たに得られたテクネチウム 98 の核データを用いて、ウラン 235 の核分裂生成物収率モ
デル検討や宇宙科学における s プロセス元素合成モデルへの応用も今後実施する予定である。
※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項についてご記入ください。
研究発表
学会名
発表テーマ
年月日/場所
研究成果物
テーマ
誌名
巻・号
発行年月日
発行所・者
T. Kobayashi, S. Sekimoto, Study on the Production and Chemical Separation Methods of
Technetium as an Assay Tracer, 294, KURRI Progress Report 2013, Kyoto Univ.(2014).