平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書 学科・資格 社会学科・教授 申請者氏名 後藤 範章 研 究 課 題 研究目的 および 報 研究概要 告 研 究 の の 概 結 果 要 研 究 の 考 察 ・ 反 省 印 視覚/映像社会学とビジュアル・リサーチ・メソッドに関する研究(8) 近年、我が国でも Visual Sociology への関心が高まり、研究成果も蓄積されるようになっ てきた。しかしながら、Visual Sociology を「映像社会学」と表現する研究者と「視覚社会 学」と表現する研究者との間には、大きな溝が横たわっている。大雑把に言えば、前者は映 像/画像データ(ないしメディア)を用いた“方法としての「映像」社会学”が、後者は「見 る/見える」営みや経験そのものをテーマ化する“対象としての「視覚」社会学”が、それ ぞれ含意されている。本研究は、両者の溝を埋め、我が国における「実質的な Visual Sociology 事始め」を宣言して、研究を継続し成果を積み上げるものである。 2013 年度までの成果をリレーして、8 年目の研究として実施した。 私は、1994 年度よりゼミで“写真で語る: 「東京」の社会学”と題するプロジェクトに取り 組んでおり、その中から「集合的写真観察法」と呼ぶ新しいビジュアル・リサーチ・メソッ ドを開発し実践を積み重ねている。プロジェクトの成果(合計 483 点の作品に結実している) に関しては、学内での展示発表やウェブでの公開の他に、学会発表・講演や論文なども既に 多数発表している。こうした蓄積を土台にして、日本より 20 数年程先に進んでいる欧米の Visual Sociology Movement の成果をレビューして吸収しつつ、私のゼミプロジェクトの成果 をそうした研究史の中に位置づけて、共通性と特異性を明確にし、独自な「視覚/映像社会学」 の構築を進めている。 本年度の成果としては、①日本都市学会大会でのビジュアル調査による都市研究について 研究発表を行い、論文を投稿したことを挙げておきたい。 ビジュアル社会学ないしビジュアル調査法に関する研究成果は着実に蓄積され、学部及び 大学院での社会学及び社会調査教育の場面でも定着するようになると同時に、学会での認知 度と評価が格段に上がっていると言える。2014 年 3 月に一般社団法人 社会調査協会がシンク タンク研究員や大学教員を対象に開講した「アドバンスト社会調査講習会」 (立教大学を会場 校として 4 日間連続で開催。2012 年 8 月に続き 2 度目)において、ビジュアル調査法がプロ グラムに組み込まれ、私が担当した半日分の講義の中で、都市社会調査と共に取り上げ、詳 しく説明を加えたが、2016 年にも同講習会が開催される見通しである。 ※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項についてご記入ください。 研究発表 学会名 発表テーマ 年月日/場所 ①日本都市学会第 61 回大会での研究発表:後藤範章「都市の物理的・社会的転換を可視化す る写真調査の可能性―埼京線・つくばエクスプレス・埼玉高速鉄道沿線での第 8 次調査か ら―」 (2014 年 10 月 25 日、同志社大学) 研究成果物 テーマ 誌名 巻・号 発行年月日 発行所・者 ②同上発表の内容を基に大幅な加筆修正を施し、 『日本都市学会年報』に同一タイトルの論文 を 2014 年 11 月末に投稿し、現在、審査中(掲載され、2015 年度中に刊行される見通しで ある) 。
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