平成26年度 日本大学文理学部個人研究費 研究実績報告書 所属・資格 中国語中国文化学科・教授(研究所) 申請者氏名 王 嵐 研 究 課 題 江湖派詩人詩集的編纂刊刻研究 研究目的 および 報 研究概要 告 研 究 の の 結 果 概 研 究 要 の 考 察 ・ 反 省 研究発表 南宋後期に現れた江湖詩派は文学事象であるのみならず、社会・文化事象である。本研究は、 張宏生『江湖詩派研究』が考証した138名の江湖派詩人を対象とし、彼らの詩集の編纂と刊刻状況 を考察するものである。1)総集、別集、筆記、地方志等から江湖派詩人の文集の編纂・刊刻に関 する文献を収集する。2)江湖派詩人の小集の具体的な収録状況を明らかにし、宋詩総集への収録 との異同を比較・対照する。3)全集が伝わっている詩人の現存する各種別集の版本を調査するこ とにより、版本間の継承関係を整理する。 各文献資料、版本資料を十分に利用しつつ、整理・分析し、考証を加える総合研究である。 138名の江湖派詩人を作品からをA~Fの6類に分類した。その内A類は小集のみが伝わっている江 湖派詩人で、67名である。何種かの重要な宋代総集への収録状況と、関連する序文・跋文(幾つ かの明清刻本を含む)及び伝記資料に基づいて、A類の概括的調査を既に完了した。ただ、この類 の作者は、小集の中の小伝や詩作を除き、資料が極めて乏しいのが大部分である。 その後、考証可能な詩人の詩集の編纂・刊刻状況に関して整理・分類・挙例・考証・分析を行 った。 現在までに得られた結論は以下の通りである。南宋江湖派詩人の小集の編纂・刊刻は「自編」 と「他者編」に大きく分けられるが、 「自編」が圧倒的多数であり、且つ、自序のあるもの、他人 に序文・跋文を依頼したもの、他人に解題を依頼したもの等、多くの状況があり、更に細かく分 類することが可能である。それに対し、「他者編」はまず自編の作品集があり、他人がそれを基に 再編集したものであるのが通例で、また数も多くない。 138名の江湖派詩人の詩集のA類以外の状況は以下の通りである。B類(16)名:小集本の他、清 抄本・刻本が伝わっており、これらの版本を更に調査しないと小集本との異同が分からない。C類 (20名) :全集が伝わっているもの。大量の作品が残されており、他にも多くの作品集が編まれて いる可能性があり、版本の状況も複雑なので、各種の公開本・私家本、目録や現存する版本を広 範に調査した後に考証すべきである。D類(10名) :詩集はあるが、現に伝わっていないもの。E類 (15名) :詩集があるかもしれないが書名が分からず、『江湖後集』のみに若干の詩が残されてい るもの。F類(10名) :詩集のないもの。 上記の内、D、E、F類については更に資料を収集た上で考証を進めなければならないが、大きな 課題になるので、段階を追って進めていくことになろう。 ※この欄は,本報告書提出時点で判明している事項についてご記入ください。 学会名 発表テーマ 年月日/場所 研究成果物 テーマ 誌名 巻・号 発行年月日 発行所・者 印 「対江湖派詩人小集編刊的初歩考察」 『中国語中国文化』 第12号 2015年3月25日 日本大学大学院文学研究科中国学専攻・日本大学文理学部中国語中国文化学科 「江湖詩人の詩集ができるまで―許棐と戴復古を例として」 [内山精也との共著] 内山精也編『南宋江湖の詩人たち 中国憲政文学の夜明け』 2015年3月 勉誠出版
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