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北米
2015年4月9日
FOMC議事録で注目した予想分布の変化
今回のFOMC議事録は新たな材料は少ないものの、最初の利上げ時期は2015年後半に後ずれしたことを確認する
内容であったと見られます。背景にはGDP(国内総生産)成長率や失業率見通しの下方修正などがあげられます。
FOMC議事録:6月の利上げ開始は意見分か
れるも、年後半の利上げに自信
米連邦準備制度理事会(FRB)は2015年4月8日に、3月1718日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表
しました。議事要旨によると、2015年1-3月期に経済は弱含
んだものの、FOMC参加者は労働市場の状況には雇用者
数の増加など広範な改善があったとみています。また、経
済見通しについてほとんどの参加者が、国外の経済・金融
情勢による潜在的リスクを認識している一方、経済活動の
見通しと労働市場の動向はほぼ安定しているとしています。
どこに注目すべきか:
FOMC議事録、GDP予想、自然失業率
今回のFOMC議事録は新たな材料は少ないものの、最初の
利上げ時期は2015年後半に後ずれしたことを確認する内容
であったと見られます。背景にはGDP(国内総生産)成長率
や失業率見通しの下方修正などがあげられます。
まず、FOMCメンバーのGDP予想を見ると、2014年12月時点
の予想では3%以上の成長率の予想が多く見られたものの、
2015年3月予想では低下しています(図表1参照)。理由とし
て議事録では寒波の影響や港湾ストが示唆されています。
次に、2016年のGDP予想を見ると、2.6-2.7%を見込むメン
バーが多かった2014年12月時点の予想に比べ、2015年3月
時点では2.2-2.3%を予想するメンバーが最も多くなっていま
す(図表2参照)。また、2015年に比べ2016年のGDP成長率
は低下する見込みです。理由として輸出の不振などドル高
の影響などが指摘されています。
最後に、長期的な失業率に注目すると、2015年3月時点の
(最頻値で見た)長期的な失業率の水準は5.0-5.1%と、前回
から低下しています(図表3参照)。長期的な失業率予想の
水準に注目するのは、このデータがFOMCメンバーの自然
失業率(インフレを加速させない失業率)に対する認識の目
安と見られるからです。参考までに、1年前のFOMCで長期
的失業率の中心予想値は5.2~5.6%となっています。この長
ピクテ投信投資顧問株式会社
期的な失業率の低下はインフレ率に影響を与える失業率の
水準が低下したとFOMCメンバーが考えていることを示唆して
おり、2015年3月時点で5.5%の現在の失業率は、インフレ率を
今日、明日にも加速させる水準ではないと多くのFOMCメン
バーが考えている可能性も考えられます。
図表1:FOMCメンバーによる2015年GDP成長率予想
(予想時点:左は2014年12月、 右は2015年3月時点)
5
人
4
3
12月(前回)
2015年
3月(今回)
※悪天候な
どで予想が
低下
2
1
(%)
0
2.0-2.1 2.2-2.3 2.4-2.5 2.6-2.7 2.8-2.9 3.0-3.1 3.2-3.3
図表2:FOMCメンバーによる2016年GDP成長率予想
7
6
5
4
3
2
1
0
人
12月(前回)
2016年
3月(今回)
※ドル高な
どで予想が
低下
(%)
2.0-2.1 2.2-2.3 2.4-2.5 2.6-2.7 2.8-2.9 3.0-3.1 3.2-3.3
図表3:FOMCメンバーによる長期的な失業率予想
(予想時点:左は2014年12月、 右は2015年3月時点)
10
8
6
4
2
0
人
※長期的な失業
率予想(最頻値)
は5.2-5.3%から
5.0-5.1%に低下
12月(前回)
3月(今回)
(%)
4.8-4.9
5.0-5.1
5.2-5.3
5.4-5.5
5.6-5.7
5.8-5.9
出所:FRBのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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