ようやく活発化した上海・香港株式市場相互乗り入れプログラム

Today’s Headline
ご参考資料
ご参考資料
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
アジア
2015年4月13日
ようやく活発化した上海・香港株式市場相互乗り入れプログラム
上海・香港株式市場相互乗り入れプログラムの当初の利用は低調でしたが、4月になってから、一時的な要因もあり
ますが、活況となっています。しかし、より注目すべきは中国の長期的な資本市場開放政策と見ています。
中国本土からの香港株投資:上海・香港相互
取引の限度額に到達
香港H株(中国本土に登記している企業で香港証券取引所
に上場)が足元急上昇しています(図表1参照)。上昇をけん
引する要因のひとつが、2014年11月に始まった上海・香港
株式市場相互乗り入れプログラム(相互プログラム)を利用
した中国本土投資家による香港上場株式の購入と見られま
す。過去4ヵ月ほど、相互プログラムの利用は低調で、毎営
業日の購入枠を大きく下回る状況が続いていました。しかし
2015年4月8日の取引では中国本土の投資家が上限まで買
い入れ、続く4月9日も取引時間終了前に購入枠を使い切る
活況となっています(図表2参照)。
どこに注目すべきか:
上海・香港株式市場相互取引、深セン市場
スタート当初の取引では、香港から上海への投資(ノースバ
ウンド)が1日の上限に達するなど活況さが見られたものの、
その後の利用は低調でした。4月になってからの相互プログ
ラムの活況は一時的な要因もありますが、注目すべきは中
国の長期的な資本市場開放政策と見ています。
まず、相互プログラム(特に上海から香港)の利用が急上昇
した背景は以下の通りです。
1つ目は、中国当局が中国本土の公募ファンドに対し相互プ
ログラムの利用の規制緩和を行ったことです。中国証券監
督管理委員会は3月後半「公募証券投資基金の滬港通取引
の参与に関する手引」を発表しました。これにより、中国本
土の公募ファンドは適格国内機関投資家(QDII)に指定され
なくても直接資金を調達し、相互プログラムを通じて香港株
に投資できることとなりました。
2つ目は、拡大していた上海A株と香港H株の相対的なバ
リュエーション(投資価値評価)の縮小です(図表1参照)。両
指数を(指数化で)比べると、2014年後半より上海A株の上
昇スピードが香港H株を上回り、乖離が進んでいました。
ノースバウンドは本土株の売却が大きくなっています。
ピクテ投信投資顧問株式会社
最後に、イースター休暇で香港が4月3日~7日まで休日で
あったことも買い需要を高めた可能性があります。
ともすると、相互プログラムの利用が急拡大した背景は一時
的な要因で、この急拡大だけに定規をあてて(このペースでの)
上昇を夢見ると期待はずれに終わるかもしれません。
それよりも注目すべきは、中国市場には今回のように規制緩
和による市場拡大の余地がまだまだ残されていることでしょ
う。例えば、相互プログラムを見ても、次は取引上限が撤廃さ
れるかもしれません。もう少し大きな話なら香港と深セン市場
の接続も期待されます。中国市場のダイナミズムには長期的
に注目し続けるべきと見ています。
図表1:中国主要株式指数とAHプレミアムの推移
(日次、期間:2014年4月10日~2015年4月10日)
200
2014年4月10日=100として指数化
180
香港H株(指数化、 左軸)
上海A株(指数化、左軸)
AHプレミアム(右軸)
160
140
120
100
80
14年4月
14年7月
14年10月
AH指数 150
140
130
120
110
100
H株割高
90
80
15年1月
15年4月
A株割高
※AHプレミアム指数:上海と香港に重複している主要上場銘柄のA株の株価
をH株の株価で除した指数、100より大きいとA株割高、小さいとH株が割高
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:上海香港株式相互取引売買代金の推移
(日次、期間:2015年3月2日~2015年4月9日)
200 億香港ドル
150
ネット代金
買付代金
100
売却代金
50
※図表2はサウスバウンド(中国
本土投資家の香港株式取引)の
買付けと売却代金
※相互プログラムの利用が低調
0
3月2日
3月9日
3月16日
3月23日
3月30日
4月6日
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と
したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に
よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆
あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、
その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、
作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ
び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構
の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ
ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも
のではありません。