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アジア
2016年10月20日
中国、過剰債務問題の側面
中国の成長率は安定化とも見られる反面、投資拡大による債務の増加も懸念され、皮肉にも成長が過剰債務圧縮
への期待(懸念)となっています。折しも10月10日に中国国務院は企業債務圧縮のガイドラインを発表しています。
中国7-9月期GDP:前年同期比で6.7%と市場
予想と一致、引き続き安定を示す
中国国家統計局が2016年10月19日に発表した7-9月期の
GDP(国内総生産)は前年同期比6.7%増と、市場予想(6.7%)、
前期(6.7%)と一致しました。中国経済の成長率が引き続き
6.7%となったことから、中国政府が設定した2016年の通期成
長率目標(6.5~7%)の達成期待は高まっています。
どこに注目すべきか:
国有企業、クレジット/GDPギャップ
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:主な新興国の債務対GDP(国内総生産)比率
(時点:2016年1-3月期、GDPは名目ベース)
300
%
政府債務
家計
企業
200
100
0
中国
ブラジル
インド
南ア
ロシア
図表2:中国のGDPとクレジット/GDPギャップの推移
(四半期、期間:2005年1-3月期~16年1-3月期、GDPは7-9月期迄)
40
16
中国GDP(前年同期比、左軸) %
%
クレジット/GDPギャップ(右軸)
30
14
悪化 債務 改善
中国の成長率は安定化とも見られる反面、投資拡大による
債務の増加も懸念され、皮肉にも成長が過剰債務圧縮への
期待(懸念)となっています。折しも10月10日に中国国務院の
関係部門が企業債務圧縮のガイドラインを発表しています。
当レポートでは、中国の過剰債務の現状を紹介します。
まず、中国の債務を国際決済銀行(BIS)のデータで政府、家
計、企業3部門別に見ると、圧倒的に企業部門に債務が多
いことが分かります(図表1参照)。他の先進国と比べても、企
業の割合が突出しています。この民間企業のほとんどは国
有企業(国営企業の所有権を国に残して経営権は企業にシ
フト)と見られ、中国の債務問題は国有企業改革の意味合
いが大きいと見られます。なお、国の債務問題を見る際に政
府債務残高対GDP比率がしばしば目安として参照されます
が、現在の中国では参考にならないと思われます。
では、中国の債務を見る上で有効と思われる指標を見渡す
と、1つの例としてクレジット/GDPギャップ(GDPギャップ)があ
げられます。GDPギャップは民間部門向け信用の対GDP比
率が、長期的トレンドから乖離する程度を示す指標で、BIS
などがデータの整備を進めてきました。中国のGDPギャップ
は30%程度と他の国(先進国は5%近辺以下、ブラジルで15%
程度)に比べて高くなっています(図表2参照)。
中国のGDPギャップが上昇したきっかけは金融危機後の経
済不振を財政政策でてこ入れしてからです。しかし問題なの
は、過剰債務が解消されるどころか増加を続けていると見ら
れることです。そして、より懸念すべき問題として、債務の増加
が中国の信用と効率性を引き下げている可能性があることで
す。BISや国際通貨基金(IMF)も最近のレポート等でこの問題
を指摘、中国に対し債務削減の取り組みを強く求めています。
なお、債務水準としてGDPギャップが使用される理由は、GDP
ギャップがある一定の水準を超えると、経済の効率性が低下
することが知られており、トレンドが考慮されない債務残高対
GDP比率のような債務とGDPの比率だけの水準に比べ、経済
の効率性との関係が明確なためと思われます。
社会的な安定を重視して債務問題を先延ばししてきた中国で
すが、当局がようやく企業債務圧縮のガイドラインを発表した
背景に意識の変化が感じられます。本格的に債務削減に取り
組むか、それとも尻すぼみとなるのか注視が必要です。
12
10
8
6
05年3月
20
10
0
-10
※2008年リーマンショック
08年3月
11年3月
-20
14年3月
出所:国際決済銀行(BIS)のデータを基にピクテ投信投資顧問作成
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