ドラギ総裁、紙吹雪にも揺るがず、債券購入の維持を表明

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欧州
2015年4月16日
ドラギ総裁、紙吹雪にも揺るがず、債券購入の維持を表明
今回のECB政策理事会では購入する国債が不足する懸念や景気回復を受け債券購入(QE)の縮小等が検討され
るのではとの観測も聞かれましたが、ドラギ総裁がQEを維持する方針を言明、QEの早期縮小懸念は払拭されました。
ECB総裁:景気に勢いを認めるも、量的金融
緩和の継続を表明
欧州中央銀行(ECB)は2015年4月15日にフランクフルトで定
例政策理事会を開き、短期金利の調節手段である短期買
いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の最低応札
金利を0.05%で、中銀預金金利と限界貸出金利もそれぞれ
マイナス0.2%とプラス0.3%に据え置くことを決めました。
3月に開始された量的金融緩和(QE)プログラムは6週間近
くが経過し、ECBは景気と銀行貸し出しの回復にQEの効果
が見え始めていると述べています。一方で ドラギ総裁は、
少なくとも2016年9月まで継続予定のQEを早期に終了させ
る理由はないとして、プログラムの縮小観測を打ち消す内
容のコメントを述べています。
どこに注目すべきか:
QE早期縮小、中銀預金金利、国債不足
今回のECB政策理事会では購入する国債が不足する懸念と
景気回復を受け、QEの縮小や購入条件の緩和に関する発
言があるかに注目が集まりましたが、会見でECBのドラギ総
裁がQEを早期に終了させる理由はなく、債券購入を維持す
ると述べ、QEの早期縮小懸念を払拭したためユーロ圏国債
市場では利回りが一段と低下しました。
市場の一部で、QEの早期縮小等、運営に関して見直しの観
測が台頭した背景は次の通りです。
1つ目はQEの購入条件に該当する国債が不足しているとの
懸念です。例えば、ユーロ圏の代表的国債市場であるドイツ
の3月6日(QE開始の1営業日前)と足元の利回りを比較する
と長期セクターを中心に大幅に利回りが低下しています(図
表1参照)。その結果、QEの購入条件(年限2~30年、最低利
回りは中銀預金金利=マイナス0.2%)に見合う年限は4~5年
超となっています。また、4月14日には格付け会社のムー
ディーズ・インベスターズ・サービスはレポートでドイツ国債で
利回りがマイナス0.2%に満たない割合が足元28%(1月は5%)
程度と述べ、年末まで投資適格な国債が不足する可能性を
ピクテ投信投資顧問株式会社
懸念しています。これに対しドラギ総裁は国債不足の懸念を
(やや根拠は不明瞭ながら)会見では明確に否定しています。
2つ目は、ユーロ圏の景気が回復傾向を示していることでQEの
早期縮小観測が見られます(図表2参照)。ただし、ドラギ総裁
も述べているように景気回復はようやく均衡が始まったばかり
であり、QEの縮小を議論するのは時期尚早と思われます。
中央銀行総裁は仮定に基づいた質問に答えないのが基本で
すが、今のペースで利回り低下が続く(と仮定する)なら、国債
不足に対応するため(購入対象国債の条件変更など)QEプロ
グラムに修正を迫られる可能性はあると思われます。
図表1:年限別ドイツ国債利回りの変化
(時点:2015年3月6日(左)、2015年4月15日(右))
0.9
2015年3月6日
2015年4月15日
%
0.6
※マイナス利回り
は8年ゾーンにま
で伸びている
購入不可 購入可能
0.3
0.0
中銀預金金利=-0.2%
-0.3
2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年15年20年 30年
図表2:ユーロ圏製造業PMIとドイツIfo景況指数の推移
(月次、期間:2012年4月~2015年3月)
54
Ifo指数
PMI指数
110
50
105
46
42
12年4月
ユーロ圏製造業PMI(左軸)
Ifo(右軸)
13年4月
100
14年4月
※製造業PMI:製造業購買担当者景気指数、Ifo:ドイツ企業景況感指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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