金利を維持することが「今のところ」適切である

*グローバル投資環境 No.912*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
オーストラリア準銀が政策金利を据え置き~ 金利を維持することが「今の
ところ」適切である
2015年3月3日作成
オーストラリア準備銀行は3日に理事会を開催し、政策金利を2.25%で据え置いた。同準銀は2月3日に
開いた前回の理事会において、16会合ぶりに25ベーシスの利下げを実施していた。
オーストラリア経済について声明文は、「得られた指標は、かなり弱い国内需要の伸びによって、トレンドを
下回るペースでの成長が続いていることを示唆している。失業率は過去1年間の間に緩やかに高まった。経
済はしばらくの間、余剰能力のもとに運営されるだろう」と述べており、景気に対する基本認識は前回から大
きく変わっていない。しかし、前回理事会の声明文にあった「エネルギー価格の下落は消費支出を相当に
サポートすることが期待されるが、同時に交易条件の悪化がインカムを減少させる。失業率のピークは以前
の予想よりも高くなるだろう。生産はやや長い期間トレンドを少し下回る伸びが見込まれる」という経済の先行
きに関する言及が削除されている。インフレについては、 「賃金の伸びが抑制されていることにより、より低い
為替レートにも関わらず、今後2~3年間のインフレは目標に一致するだろう」という見通しを維持している。
住宅市場については、「住宅価格はシドニーで引き続き大きく上昇しているが、他の都市ではここ数ヶ月の
間異なるトレンドが観察される」と述べた上で、「住宅市場から起因する経済のリスクの評価あるいは抑制は、
別の規制を通じて行う」という、前回理事会の声明文で示されたスタンスを維持している。
また、「豪ドルは米ドルに対して著しく下落したが、通貨バスケットに
対してはそれほど下落していない。とりわけ最近の商品価格のさらなる
下落を考えると、ファンダメンタルズに基づくほとんどの推定を上回って
おり、経済がバランスのとれた成長を達成するためには、より低い為替
レートが必要だ」という為替レートに関する表現も変わっていない。
利下げを実施した前回理事会の声明文には、金利の先行きに関す
るガイダンスが見当たらなかったため、市場は判断に迷っていたが、今
回の理事会が近づくに連れて、連続利下げとの見方がやや優勢となり、
豪ドルは米ドルに対して上値が重たい展開となっていた。一方、今回の
理事会の声明文は今後の政策スタンスについて「今のところ金利を据
え置くことが適切だが、需要の持続的な成長を促進し、インフレをター
ゲットに一致させるためには、政策のさらなる緩和が適切になるだろう。
我々は、来るべき会合においてさらなる評価を実施する」と述べている。
円/豪ドル(上段左軸)と米ドル/豪ドル(同右軸)及び
政策金利と国債利回り(下段、%)
このように、準銀が追加利下げを視野に入れていることは今回の声
明文から確認されたが、金利を一旦据え置いて、短期的な底は打っ
たかにみえるものの不安定な動きが続いている原油に代表される商品
市況等の動向を見極めようとしたことが、今回の政策決定の背景では
ないかと高木証券では考えている。なお、今後追加利下げが実施され
るとしても、その幅が25ベーシスにとどまるのであれば、それは同国の
債券市場や通貨豪ドルの水準には相当程度織り込まれていよう。
なお、オーストラリアでは明日(4日)に、昨年10~12月GDPの発表
が予定されている。
(文責:勇崎 聡)
(出所:オーストラリア準備銀行及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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