景気の持ち直しにはインフレ低下が不可欠(2015/12/2作成)

*グローバル投資環境
No.1207*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
内需の不振で大幅なマイナス成長継続。景
ブラジル第3四半期GDP~ 気の持ち直しにはインフレ低下が不可欠
2015年12月2日作成
*ブラジルの国家地理統計局が1日に発表した第3四半
期のGDPは前期比1.7%減少となり、市場予想(1.2%減)
を大幅に下回った。同時に第2四半期の成長率も従来発
表の1.9%減から2.1%減に下方修正された。前期比での
マイナス成長は3四半期連続。また、対前年同期比では
4.5%減という市場予想(4.2%減)を超える大きな落ち込
みとなったほか、第2四半期についても2.6%減から3.0%
減に下方修正された。前年同期比でのマイナス成長は6
四半期連続。
*前期比の成長率を需要項目別でみると、家計消費支
出が1.5%減少、第2四半期の2.4%減よりは改善したもの
の3四半期連続でマイナスとなったほか、総固定資本投資
の落ち込みも第2四半期の6.6%減から4.0%減に縮小し
たものの高水準のマイナスが続いている。また、政府消費
支出は辛うじて0.3%のプラスとなったが、第2四半期の
0.7%増からは鈍化した。一方、輸出が第2四半期の3.1%
増から1.8%の減少に転じたが、輸入が6.9%という輸出を
上回る落ち込みとなったことで、純輸出はGDPを押し上げ
る方向に働いている。
*ブラジルのインフレは一貫して中銀のターゲットの上限で
ある6.5%を上回っているが、公共料金の値上げや燃料に
対する課税の復活によりインフレが急速に加速したのは今
年1月であるため、年明け以降はベース効果による低下が
見込まれる。しかし、7月以降は高水準ながら加速には歯
止めがかかっていたインフレ率が10月には9.93%に上振
れたことを受けて、中央銀行は11月24日から25日にかけ
て開催した金融政策委員会で政策金利を3会合連続で
14.25%で据え置いたものの、その決定は過去2会合のよ
うに全会一致ではなく、8名の委員中2名が50ベーシスの
利上げを主張した。
▼GDPの推移(%)
▼支出項目別GDP(前期比、%)
GDP
家計消費支出
政府消費支出
総固定資本投資
輸出
輸入
2014年
3Q
4Q
-0.1
0.1
0.0
1.4
0.5 -0.8
-2.2 -1.5
3.9 -13.8
3.5 -6.3
1Q
-0.8
-2.0
-0.7
-3.5
16.1
-0.5
2015年
2Q
-2.1
-2.4
0.7
-6.6
3.1
-8.0
3Q
-1.7
-1.5
0.3
-4.0
-1.8
-6.9
▼政策金利及びインフレ率(%)
↑政策金利
14.25%
消費者物価↑
10月
9.93%
▼貿易収支(百万米ドル)
▼レアル/米ドル(右軸)と円/レアル(右軸)
*このところのマイナス成長の主な要因は、高インフレとこ
れに伴う高金利による内需の落ち込みであるため、景気回
復のためにはなるべく早い時期に中銀のターゲットの中心
である4.5%に向けたインフレの低下が明瞭になり、中銀が
利下げに転じることが不可欠だと思われる。なお、中銀の
政策判断に大きな影響を与えるインフレ率の11月分は9
日に発表される予定である。
(文責:勇崎 聡)
(出所:ブラジル国家地理統計局及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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