ブラジル2014年第4四半期GDP〜予想外のプラス成長も過去の話(2015

*グローバル投資環境
No.941*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
ブラジル2014年第4四半期GDP~予想外のプラス成長も過去の話
2015年3月30日作成
*ブラジルの国家地理統計局が27日に発表した2014
年第4四半期のGDPは前期比0.3%増加した(第4四半
期の成長率は前年同期比では0.2%減だが、第3四半
期の0.6%減からマイナス幅が縮小した)。また、第3四
半期のGDPが前期比0.1%増から同0.2%増に上方修
正されるなど、過去に遡って改訂され、2014年通年の
成長率は0.1%増となり、2013年の2.7%増からは大きく
鈍化したものの、辛うじてプラス成長を維持した。
*前期比の成長率を生産項目別でみると、第1次産業
が1.8%増、第2次産業が0.1%減、第3次産業が0.3%
増であった。支出項目別では、家計消費支出が第3四
半期の0.4%増から1.1%増に拡大したが、政府消費支
出が第3四半期の0.9%増から0.6%の減少に転じたほ
か、総固定資本投資は0.4%減少し(第3四半期は
0.5%減)、6四半期マイナスが続いている。また、輸出
が12.3%減少、輸入の5.5%減を上回る落ち込みとなっ
たことで、純輸出もGDPを押し下げる方向に働いている。
《支出項目別成長率の推移》
2014年
1Q
2Q
3Q
GDP
0.6 -1.4
0.2
家計消費支出
0.3
-0.5
0.4
政府消費支出
-1.4
0.9
0.9
総固定資本投資
-0.5
-4.5
-0.5
輸出
-1.7
1.4
1.4
輸入
2.7
-3.7
2.5
(前期比、%)
4Q
0.3
1.1
-0.6
-0.4
-12.3
-5.5
*第4四半期のGDPに関する市場予想の中心は前期比
0.1%減であったため、プラス成長はサプライズだが、そ
れはすでに過去の話であり、足下の景気は悪化している
可能性が高い。OECDは去る3月18日に発表した「経済
中間評価」において2015年のブラジルの成長見通しを
昨年11月時点の予想から2.0%引き下げて0.5%減とし
ている。
*年明け以降のブラジル経済の動向を占う上では、今
年に入ってからの燃料に対する課税の復活などによるイ
ンフレの加速とそれに伴う中銀の一段の金融引き締め
が、昨年第4四半期のプラス成長に寄与した唯一の要
素である個人消費にどの程度の影響を与えているかが
鍵を握ろう。また、最近の中銀の通貨安容認姿勢が第
4四半期には先に述べた通り大きく落ち込んだ輸出にある程度好ましい影響を与えているかどう
かもポイントになろう。なお、中銀は2013年8月22日以降続けてきた通貨安定(為替介入)プロ
グラムを3月末で打ち切ることを去る3月24日に発表している。但し、必要に応じて別の手段をと
ることを表明しており、このことは中銀はインフレをさらに悪化させる過度の通貨安に対するオプ
ションを確保していることを意味するため、ブラジルの通貨レアルの落ち着きどころは、中銀が通
貨安をどこまで許容するかにかかっている点に変わりはないと思われる。 (文責:勇崎 聡)
(出所:ブラジル国家地理統計局及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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