インドネシア経済〜昨年下半期が成長のボトムとなる可能性(2015/2/6作成)

*グローバル投資環境
No.885*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
インドネシア経済~ 昨年下半期が成長のボトムとなる可能性
2015年2月6日作成
インドネシアの中央統計庁が5日に発表した昨年第4四半期のGDP
は前年同期比5.01%の増加となり第3四半期の4.92%増から加速し
た。一方、前期比の成長率は2.06%のマイナスだったが、同国で
は第3四半期の成長率が学校の新学期入りに伴って高くなるため、
第4四半期はマイナス成長となる傾向がある。2014年通年の成長率
は5.02%増となり2013年の5.58%増から鈍化した。なお、今回か
ら算出方法が2000年基準から2010年基準に変更されたため、成長
率は過去に遡って修正されている。
【主要需要項目別GDP】(%)
第4四半期
通年
前年比 前期比 2013年 2014年
個人消費支出
5.01 0.03 5.38 5.14
政府消費支出
2.83 43.28 6.93 1.98
国内総固定資本投資
4.27 2.99 5.28 4.12
輸出
-4.53 4.32 4.17 1.02
(減算)輸入
3.22 8.17 1.86 2.19
GDP
5.01 -2.06 5.58 5.02
第4四半期の成長率(前年同期比)を主要な需要項目別でみると、個人消費支出が5.01%と堅調
な伸びを示す一方、輸出が4.53%減少してGDPの下押し要因となった。また、通年の成長率でも、
個人消費支出が5.14%増加し、前年の5.38%からは鈍化したものの成長のドライバーとなる一方、
輸出が前年の4.17%増から1.02%増に減速したほか、政府消費支出の伸びも前年の6.93%から
1.98%に低下した。
インドネシア中銀は2015年の成長率を5.4~5.8%と見込んでいる。強い家計消費に加え、後述
する燃料補助金制度の改革による財政余力の増大に伴う政府支出と投資の広がりが高成長のきっ
かけになることを想定している。
インドネシアのファンダメンタルズは総じて良好な方向に向かっていると思われる。インフレ
率は昨年11月に実施された燃料に対する補助金の削減を受けて12月には8.36%に達したが、1月に
は6.96%に低下している。その背景としては、政府は今年1月にはガソリンに対する補助金を廃止、
ディーゼル燃料に対する補助金も固定した
上で、いずれも市場価格に連動する形に改
められたが、最近の石油価格の下落に伴っ
て消費者に販売される燃料価格は逆に値下
がりした点が挙げられるほか、貿易収支も
12月の4億2,500万ドル赤字から1月は1億
8,700万ドルの黒字に転じたことも原油安の
恩恵といえる。
そして、これらを好感する形で同国の株
式市場は先月過去最高値を更新しているほ
か、債券市場でも10年国債利回りは足下で
7%割れ寸前まで低下して2013年10月以来の
低水準を付けている。
一方、通貨ルピアは基本的に安値圏にあ
り、昨年12月中旬以降は1米ドル=12,400~
12,800ルピアのレンジ内で推移している。
髙木証券では、同国の成長率は昨年下半期
がボトムとなった可能性があると考えてい
るが、成長率の拡大に対する投資家の確信
が高まれば、ルピアを再評価する動きも出
て来よう。
(文責:勇崎 聡)
(インドネシア中央統計庁及びBloombergデータより髙木証券作成)
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