「ハト派」だったイエレン議長の米国上院議会証言(2015/2/25作成)

*グローバル投資環境 No.907*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
「ハト派」だったイエレン議長の米国上院議会証言
2015年2月25日作成
FRBのイエレン議長は24日、米国上院銀行委員会で議会証言を行った。
FRBは議会から「雇用の最大化」と「物価の安定」という二つの責務(dual mandate)を付託
されているが、このうちの雇用についてイエレン議長はまず「昨年7月の前回証言以降、雇用情
勢は広汎な改善をみせた」と述べた上で、「月間の平均雇用者増は2014年上半期の24万人から
下半期には28万人に拡大したことに加え、長期失業率が相当に低下し、正規雇用を希望しなが
らもパートタイム勤務を余儀なくされている人も減少した」と前向きな評価を示す一方、「労
働参加率は多くの人が考えるトレンドよりも低く、賃金の伸びも緩慢だ」と指摘している。
一方、インフレについては「目標である2%を引き続き下回っており、短期的にはさらなる低
下が見込まれるが、労働市場がさらに改善し、低いエネルギー価格やその他の一時的な要因が
消失することにより、中期的には目標に向けて緩やかに上向くだろう」という、FOMCの声明文
や議事録において繰り返し述べられているFRBの見方を確認した。
ところで、FRBは昨年10月の量的緩和終了後の初の会合となった12月16日~17日のFOMCの声明
文に「FFレートの引き上げ開始には『忍耐強くなれる(can be patient)』」との文言を盛り
込んで、1月27~28日のFOMCでもこの表現を踏襲したが、12月のFOMC後の会見でイエレン議長が
「『忍耐強く』は少なくとも今後2回の会合において(at least next couple of meetings)利
上げを開始しないことを意味する」と説明していたため、12月から数えて2回目にあたる3月17
日~18日に開かれる次回のFOMCが注目されており、従来は、3月のFOMCで「忍耐強く」が削除さ
れれば、FRBは6月(16~17日)のFOMCで利上げを開始するとの見方が有力となっていた。
議会証言においてイエレン議長は「もし、経済状況の改善が予想通り継続すれば、我々はど
こかのタイミングで『会合のたびに(meeting-by-meeting)』利上げを検討し始めるが、その
前にフォワードガイダンスを変更するだろう」と述べたが、「フォワードガイダンスの修正が、
『今後数回の会合で必ず利上げを実施すると解釈されるべきではない』と強調することが重要
だ」と指摘するとともに、「ガイダンスの修正は、近いうちに毎回の会合においてFF金利を変
更できるとみられる水準まで状況が改善したというFOMCの判断を示していると理解するべき
だ」と述べている。
1月27~28日に開かれた前回FOMCの議事録は、《今後のFOMC開催日程》
議長会見
米国の景気に対する強気な見方を示していた 開催日
声明文とは異なって、懸念材料が列挙された
3/17~18 有り
ものだったことから注目されていた今回の議
4/28~29 無し
会証言が、議事録のトーンを踏襲した「ハト
6/16~17 有り
派」なものとなったことは、米国の株式市場
7/28~29 無し
に対して心理的にプラスに働く一方、「利上
9/16~17 有り
げを急がない」というメッセージは米国債券
10/27~28
無し
利回りの急速な上昇を抑制する点で、為替市
12/15~16 有り
場における米ドルの上値を重たくする要因で
あり、円/米ドル相場は当分の間はレンジ内で
の推移が続く可能性が高いと思われる。
(文責:勇崎
聡)
(出所:FRB及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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