No.2016-002 2016年4月6日 http://www.jri.co.jp 2016年夏季賞与の見通し ― 一人当たり支給額が2年ぶりのプラスへ ― (1)今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.6%と、夏季賞与としては 2年ぶりのプラスとなる見込み(図表1)。 (*)厚生労働省「毎月勤労統計」事業所規模5人以上ベース。 (2)背景には、2015年度下期の企業収益の底堅さ。製造業では、既往円安効果の剥落と市況の悪化 が収益下押しに作用したものの、総じて良好な財務体質が維持されるもと、非製造業を中心に 企業収益は高水準を維持(図表2)。 (3)もっとも、海外景気減速への懸念を背景に、株価の低迷が続くなか、企業の景況感は悪化。 今春闘では、賃金引上げ率上昇が低下するなど(図表3)、企業は人件費増加に慎重な姿勢。 支給水準の低い中小企業や非正規雇用が雇用者数増加を牽引することで、一人当たり平均額が 下押しされる傾向も持続。 (4)支給総額は、前年比+2.6%の増加となる見込み(図表4)。一人当たり支給額の増加に加え、 景気の回復傾向を反映した支給対象者の増加が押し上げに作用。 (5)国家公務員は、同+3.1%の増加となる見込み。2015年人事院勧告に基づく賞与支給月数の増加 (0.08ヵ月分)と月例給の引き上げ(0.36%)が押し上げに作用。 (*)2015年人事院勧告に基づく2015年夏季賞与引き上げ分(2016年1月の実施法成立後に差額調整済)を除く支給実績との比較。 (図表2) 経常利益と労働分配率(季節調整値) (図表1) 一人当たり夏季賞与の見通し 民間企業 製造業 2014年末 (実績) 2015年夏季 (実績) 2015年末 (実績) 2016年夏季 (予測) 支給額 (万円) 1.9 4.9 (前年比、%) 国家 公務員 非製造業 1.3 21.0 (%) 労働分配率(右目盛) 110 65 63 61 59 57 55 53 ←2000年代 51 のピーク水準 49 47 45 2000年代の 100 ボトム水準→ 90 (兆円) ▲ 2.8 ▲ 3.3 ▲ 2.7 5.7 80 ▲ 0.3 1.1 ▲ 0.6 ▲ 4.8 70 0.6 0.9 0.5 3.1 35.9 49.9 33.1 63.9 60 50 経常利益(左目盛) 40 (資料)厚生労働省、総務省、人事院、予測は日本総合研究所 12 13 14 15 (年/期) (資料)財務省「法人企業統計季報」をもとに日本総合研究所作成 (図表3) 春闘賃上げ率と所定内給与(前年比) (%) 3.0 2.5 連合最終集計値 連合速報値 うち中小(300人未満) 所定内給与 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 ▲ 0.5 2011 12 13 14 15 16 (資料)連合、厚生労働省 (年度) (注1)2015年度の所定内給与は2015年4月~2016年2月。 (注2)速報値は2016/3/30の第3回集計と過去の同時期の集計。 (図表4) 賞与支給総額(前年比) 賞与支給労働者割合(夏季、右目盛) 支給労働者数(左目盛) 8 一人当たり支給額(左目盛) 7 (%) 支給総額(左目盛) 6 (%) 予測 83 82 5 4 3 2 1 0 ▲1 ▲2 ▲3 81 80 79 78 77 76 11 12 13 14 (資料)厚生労働省を基に日本総合研究所作成 15 16 (年/半期) 【ご照会先】調査部 主任研究員 小方尚子([email protected] , 03-6833-0478)
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