No.2015-021 2015年2月20日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp マレーシア高成長 ~ 輸出増で生産増 ~ (1)マレーシア経済が高成長。昨年10~12月の実質経済成長率を前期7~9月と対比すると前年比 では5.6%から5.8%と依然6%弱ながら、季調済前期比年率では3.8%から8.4%。8%台の成長 は8.1%の2012年10~12月以来2年振り。生産面からみると、まず鉱工業生産が昨春来の一進一 退から昨年10月以降力強い増勢復帰(図表1)。次いで輸出数量が11月から増加。部品や原材 料の輸入も増え、コンテナ取扱量も11月から増勢。 (2)主要業種別に昨年10~12月の製造業の生産を前期7~9月と対比してみると、プリント基板を 中心とする電子部品と石油精製が+0.5%で最大の寄与度。次いで自動車と食料飲料が+0.4%。 食料飲料ではビスケット等の菓子類やアルコール、ソフトドリンクなど嗜好品が増加を牽引。 自動車は輸出も増えたものの、国内向けが増加の原動力。販売台数は季調済年率で昨年10月の 63.8万台を底に12月70.7万台に増加。販売増を受けて生産台数が昨年10月の同53.2万台を底に 12月63.4万台に増加。もっとも二輪車は近年趨勢的に減少。所得水準の向上を反映して二輪車 から四輪車へシフト進行。さらにコンピュータが+0.2%、セメントを中心に非鉄金属が+0.1%、 生産増に寄与。セメント増は投資増と平仄。生産マイナスは基礎金属や電気機械など限定的。 (3)輸出増を分野別に数量ベースでみると、機械機器が際立って増加(図表3)。プリント基板 をはじめスマホやタブレットなど、世界的な通信機器需要の増大が投影。輸出相手国をみると、 アメリカやオランダ、韓国や台湾など通信機器の生産拠点向けが大幅増。サプライチェーンへ の編入進行。加えてインドやベトナム、フィリピンなど周辺各国向けも増加。周辺の新興諸国 経済の成長と通信機器への需要増から同国輸出は少なくとも当面堅調に推移する公算大。景況 好転を映じて雇用情勢改善(図表4)。昨夏から就業者が増え、非労働力人口が減勢に転じ、 失業率低下。賃金も増えて消費増。内外需に牽引され、同国経済は実質5%成長持続の公算大。 (図表1)マレーシアの生産と輸出、コンテナ取扱量 112 120 (図表2)主要業種別工業生産(季調済) 0.8 132 (2013年=100) (2013年=100) (2013年=100) 鉱工業生産(左目盛) 輸出数量(左目盛) コンテナ取扱量(右目盛) 109 (ポイント) 寄与度(①/②、左目盛) 2014年4~6月(右目盛) 2014年7~9月(②、〃) 2014年10~12月(①、〃) 115 0.6 124 106 110 0.4 116 103 105 0.2 108 100 100 0.0 100 92 95 ▲0.2 97 94 90 2013 14 (出所) Jabatan Perangkaan (年/月) (注) 季調済。 (出所) DoS (図表3)主要分野別輸出数量(季調済) 2.1 (図表4)労働・非労働力人口と就業・失業者数、失業率 118 20 労働力人口(10万人、左目盛) 就業者数(〃、〃) 非労働力人口(〃、〃) 失業者数(万人、〃) 失業率(右目盛) (2013年=100) (ポイント) 1.4 112 16 (%) 3.4 12 0.7 3.6 106 8 0.0 100 4 94 0 3.2 3.0 ▲0.7 増減率寄与度(①/②、左目盛) 2014年4~6月(右目盛) 2014年7~9月(②、右目盛) 2014年10~12月(①、右目盛) 2.8 ▲4 88 ▲1.4 2.6 ▲8 (出所) DoS 2013 14 (出所) DoS (注) 季調済。失業率以外は対2013年1月差。 (年/月) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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