No.2015-017 2015年2月10日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp 中国輸入が大幅減 ~ 主因は資源安 ~ (1)本年1月の中国輸入金額が大幅減(図表1)。昨年12月と対比すると、ドルベースで前年比で は▲2.3%から▲19.9%、季節調整を施すと前月比+2.9%から▲10.0%。前年比▲19.9%はリー マン・ショック直後、2009年5月▲24.8%以来。一方、輸出金額は前年比で+9.5%から▲3.3%、 季調済前月比は+3.7%から▲0.9%。マイナスとなったものの小幅。一般に輸入は景況と連動。 内需を中心に景気の先行きを懸念する見方が台頭。 (2)主要品目別に前年比寄与度をみると、1月の大幅な輸入減は▲5.4%の原油が主因(図表2)。 次いで鉄鉱石▲3.3%、石炭▲1.1%、石油製品▲1.0%、自動車を除く機械機器▲0.9%など。 主要品目中、プラスは穀物のみ。増加率は0.9%と僅少。数量と単価に分けてみると、原油は 数量が前年比ほぼ横這いで単価下落が主因。鉄鉱石は数量も▲9.4%ながら単価が▲45.1%と 大幅減。石炭は数量減が単価下落を上回るものの、石油製品、銅鉱、プラスチック、鋼材とも 数量減を上回って単価が下落。原油をはじめ、このところの資源価格の下落が主因。さらに、 休日も作用した可能性。春節に伴う休日は1日減ながら、元旦の連休が昨年は13年12月31日~ 14年1月1日に対して、今年は1月1日~3日で2日増。過度な景況悪化懸念は必要小の可能性。 (3)1月、大幅な輸入減の主因となった原油をみると、輸入量は季節調整に伴う月次変動が残る ものの、総じて13年末から増勢を辿るなか、輸入価格が昨年9月から急速に下落(図表3)。 本年1月は1バレル当たり53.1ドル。2月に入り原油価格が上昇。WTIは同50ドル台に乗り、 北海ブレントは同50ドル台後半。原油に次いで輸入減の要因となった鉄鉱石では昨年4月から 粗鋼や鋼材の生産が月を追って増加(図表4)。昨年12月増勢加速。中国向け鉄鉱石輸出の 中心である豪州ポートヘッドランド港の輸出量は本年1月増勢回復。原油や鉄鉱石など、資源 価格が再び大幅下落に転じない限り、資源安に伴う輸入減圧力は今後、一巡に向かう公算大。 (図表1)中国の輸出入金額と実質輸出入(季調済) 124 116 (図表2)主要品目別輸入金額(2015年1月、前年比) 2 22 (2013年=100) (%) 1 (2013年=100) 116 108 108 100 100 輸出金額(左目盛) 実質輸出(左目盛) 輸入金額(右目盛) 実質輸入(右目盛) 84 (%) 11 0 ▲1 ▲11 ▲2 ▲22 ▲3 ▲33 ▲4 ▲44 84 ▲5 ▲55 ▲6 ▲66 92 92 0 輸入総額に対する寄与度(左目盛) 数量(右目盛) 金額(右目盛) 単価(右目盛) 76 2013 14 (出所) 中国海关总署など 15 (注) ドルベース。 (年/月) (図表3)中国輸入原油の価格と数量 (出所) 中国海关总署 (注) 人民元ベース。機械機器は自動車を除く。 (図表4)粗鋼・鋼材生産と豪州鉄鉱石輸出量(季調済) 110 114 120 (2013年=100) 150 (2013年=100) 原油輸入量(左目盛) (ドル/バレル) 原油価格(右目盛) 粗鋼生産量(左目盛) 鋼材生産量(左目盛) 鉄鉱石輸出量(右目盛) 112 115 100 110 110 108 90 105 140 (2013年=100) 130 106 120 104 100 80 102 95 70 90 110 100 100 98 85 60 80 96 90 94 0 75 50 2012 13 (出所) 中国海关总署 14 (注) 輸入量は季調済。 15 (年/月) 0 92 80 2013 14 (年/月) 15 (出所)海关总署など (注)鉄鉱石は豪ポートヘッドランド港の対中輸出。 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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