ギリシャ交渉の今後、百里を行く者は九十九里をもって半ばとす

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欧州
2015年2月4日
ギリシャ交渉の今後、百里を行く者は九十九里をもって半ばとす
ギリシャ新政権が緊縮策反対の姿勢から、欧州連合(EU)などとの交渉を開始する姿勢を示したことで、国債市場は
反発しましたが、本格的な回復には金融支援の期限延長、緊急流動性支援の継続の確認が必要と思われます。
ギリシャ新政権:反緊縮政策から一転、金融
支援に向け交渉を模索か
ギリシャ政府がユーロ圏諸国への債務減免要請を後退させ
たとの報道を受け、2015年2月3日の欧州債市場ではギリ
シャ国債が上昇(利回りは低下)しました(図表1参照)。信用リ
スクの保険として利用されるクレジット・デフォルト・スワップ
(CDS)市場でもギリシャ国債の保証コストが低下していま
す。ギリシャ国債が上昇した背景は、ギリシャのバルファキ
ス財務相が2月2日にロンドンで開かれた投資家との会合
で、欧州中央銀行(ECB)と欧州金融安定ファシリティ(EFS
F)に対する債務の一部を新発債と交換する計画の概要を説
明 したと報道されたことなどによります。
どこに注目すべきか
ギリシャ債務、EFSF、ELA
ギリシャ新政権は総選挙前の緊縮政策反対の姿勢から、欧
州連合(EU)などとの金融支援の方向で交渉開始姿勢を示
したため、昨日のギリシャ国債市場は反発しましたが、本格
的な回復を期待するには、2月28日の金融支援の期限の延
長、ECBが緊急流動性支援の継続を認めることを確認する
ことが必要と思われます。
まず最初にギリシャの政府債務の状況を確認します(図表2
参照)。2014年9月末時点でギリシャ政府債務は約3,155億ユ
ーロ(42兆5,900億円)程度と見込まれます。そのうち5割弱が
EFSFで、ギリシャの最大の債権者はEFSFとなります。
次に、投資家の間で取引もしくは保有されているギリシャ国
債の額についてみてみると、長期国債のみでは700億ユー
ロ弱で、短期国債を加えても800億ユーロ超と見られます。
しかも長期国債のうち4割程度はECBが保有していると見ら
れます。
EFSFの元本返済は2033年までとなっており、先の話ですが、
問題はEFSFから受けている他の金融支援(公的資本注入
基金)で2015年2月28日が(延長の)期限となっています。
しかし、ギリシャではギリシャ中銀が預金流出で資金不足の民
間大手3行に20億ユーロの緊急支援を行ったことが報道され
ています。ECBの許可が必要な緊急流動性支援(ELA)はギリ
シャ政府は少なくとも2015年5月までは継続が必要としていま
すが、EUとの交渉でEFSFからの金融支援が延長されなけれ
ば、ELAの継続も困難と思われます。
(予想されたこととはいえ)ギリシャが反緊縮姿勢からEUと交渉
する姿勢を示したことは前向きな話ですが、安心するのはまだ
先の話のように思われます。
図表1:ギリシャ国債市場の推移
(日次、期間:2014年2月3日~2015年2月3日)
85 債券価格
80
75
70
65
60
ギリシャ国債
55
50
14年2月
14年5月
14年8月
14年11月
15年2月
図表2:ギリシャ政府債務の構成比のイメージ
(期間:2014年9月末)
政府短期
証券
ECB保有
国債
債務交換後
の国債(PSI)
IMF支援
その他
EU諸国によ
る支援
※約3分の1の
支援に加え、
PSIもEFSFが
保有、合計45%
程度がEFSFの
ギリシャ向け
債権額と見ら
れる
約3,155億ユーロ
出所:各種報道、EFSF等のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
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