中国人民元、国際化は花も嵐も

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2015年1月5日
中国人民元、国際化は花も嵐も
国内の成長に勢いが失われつつある中、中国は2015年、海外市場に活路を見出すため対外投資の増加と人民元
の国際化を進展させることが期待されます。ただし、中国の債務問題には気になる点もあり、注意が必要です。
中国対外直接投資:一段と加速、対内直接
投資額との差が縮小
中国商務省が2014年12月に公表した対内直接投資(海外
から中国への直接投資)は1月から11月の累計額が1,062億
ドルとなり、前年同期比0.7%増にとどまりました。10月まで累
積ベースで4ヵ月連続のマイナスでしたが、サービス部門へ
の資金流入が寄与し、プラスに転じました。1~11月のサー
ビス部門への対内直接投資は前年比7.9%増の586億ドルと
なる一方、製造業への対内直接投資は13.3%減少しました。
反対に、中国から海外への直接投資である対外直接投資は
2014年1~11月において898億ドルと前年同期比11.9%の大
幅な増加となりました。中国国内経済が減速するなか、中国
企業はコスト削減と利益押し上げを目指し、海外への投資を
拡大させている格好です(図表1参照)。
どこに注目すべきか
人民元事前許認可、決済銀行、インフラ投資
国内の成長に勢いが失われつつある中、中国は2015年、海
外市場に活路を見出すため対外投資の増加、人民元の国
際化を進展させることが期待されます。ただし、中国の債務
問題には気になる点もあり、注意が必要です。
2014年末から足元にかけ、中国企業の対外進出を促進する
政策が次のように公表されました。
まず、規制緩和では人民元の事前登録制が廃止されていま
す。12月24日に中国国務院常務会議で中国企業の対外投
資について(一部例外を除き)事前許認可制の廃止が決定さ
れました。また、この決定に伴い、対外投資に必要な外貨の
調達を、従来の事前登録制から、銀行での直接両替へと規
制緩和される方向です。また、日本でも報道されましたが、
一部の地域(香港、英国、フランスなど)に限定されていた人
民元建て債券発行の範囲を拡大する方針も決定されました。
資金調達に関する規制が緩和されることで中国の民間企業
などの海外進出が加速する可能性も考えられます。
次に、人民元の決済拠点も拡充されています。中国はオフシ
ピクテ投信投資顧問株式会社
ョア市場での非居住者による人民元取引を制限しており、例
えば、海外から投資に使う人民元を中国に送金する場合香
港、シンガポールなどに拠点を置く認可を受けた特定の銀行
を通す必要があります。しかし2014年に人民元の決済銀行が
豪州、欧州、アジアなどの国にも認められ、12月にタイに決済
銀行を置くこととなり、拠点は14の国や地域に拡大しています。
最後に、インフラ投資の促進を目的に中国主導で2015年末に
設立予定のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、24番目の国と
してニュージーランドが(西側の国として初めて)交渉を行って
いる模様です。米国、日本など(西側は)様子見をしていただ
けに、ニュージーランドの今後の動きに注目しています。
このように、中国経済の鈍化に対し、海外進出を支援する明
るい面がある一方、景気鈍化により、過去の遺産である中国
の債務問題に対しては注意が必要です。特に2015年、中国
ではAA格付け以下の発行体による大量の償還が予定されて
おり、注意が必要です。また、地方政府の債務の償還額が大
きいことと、地方政府の債務を中央政府がどこまで支援する
かに不透明感が高まってる点にも注意が必要と見ています。
良きにつけ悪しきにつけ2015年も中国の動向から目が離せ
ない展開となりそうです。
図表1:中国の年別対内・対外直接投資額
(年次、期間:2009年~2014年、2014年は1~11月累計)
1,400
差異(右軸)
対内直接投資額(左軸)
対外直接投資額(左軸)
億ドル
1,200
対内直接
投資と対
外直接投
資の差
1,000
800
億ドル
1,000
800
600
※差は
年々縮小
している
600
400
400
200
0
09年
10年
11年
12年
13年
14年
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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