2015年、中国全人代を前に

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アジア
2015年2月26日
2015年、中国全人代を前に
中国の国会に当たる全国人民代表大会が2015年3月5日からの日程で開催が予定されていますが、注目は中国当
局が2015年GDP成長目標を引き下げられるかと、引き下げた場合の経済対策にも注目しています。
2015年中国全人代近づく:2014年は経済成
長目標を据え置いたが
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代、第12期全
人代第3回会議)は2015年3月5日から開催が予定されてい
ます。会期は10日間程度と見られます。
1年前の2014年の全人代では、李克強首相が政府活動報告
の中で、2014年のGDP(国内総生産)成長目標を2013年と
同じ7.5%に据え置きました(2014年実績は7.4%)。一方で、投
資に偏重した中国経済の構造改革の意向を受け、国家発展
改革委員会(NDRC)は2014年の全人代報告の中で、固定
資産投資の成長率目標を17.5%と低い水準に設定しました。
過去、中国GDP成長率の最大のけん引役となったのが投資
で、中でも固定資産投資は2013年の伸びは19.6%と目標の
18%を上回りました(図表1参照)。
どこに注目すべきか
地方政府GDP、全人代、経済対策、輸出
中国全人代が開催される3月第1週は、5日に欧州中央銀行
(ECB)が政策理事会で国債購入の詳細の公表、米国では6
日に雇用統計が予定されるなど、イベント続きですが、中国
が全人代で設定するGDP成長目標にも注目が集まると見ら
れます。
2015年の中国の成長目標を占う上で注目は以下の通りです。
まず、地方政府のGDP成長目標が昨年に比べ低下している
点です。3月に始まる中央の全人代にさきがけ、中国に31あ
る1級行政区(上海などの直轄市、省、自治区)において地方
の全人代が1月半ばから開催されてきました。報道された各
地方の2015年のGDP成長目標を見ると、チベットと上海市(
公表取りやめ)を除く29の行政区で、GDP成長目標が2014年
に比べ引き下げられています。
次に、特に成長目標の引き下げが大きかった行政区を見る
と山西省(2014年目標9.0%⇒2015年目標6.0%、以下同じ)、黒
龍江省(8.5%⇒6.0%)、 遼寧省(9.0%⇒6.0%)などになります。
ピクテ投信投資顧問株式会社
これらの行政区に共通しているのは、2014年実績のGDP成
長率が5%前後であることです。2015年の予想については実態
に合わせた格好です。また、これらの地区は石炭や鉄鋼、セ
メントなど重工業が中心で、鉱工業生産や固定資産投資の
落ち込みが景気の減速感をもたらしたと見られる点です。
もっとも、中央はGDP成長目標を独自に算出することや、中
国の地方のGDP実績合計と中央のGDP実績にはしばしば乖
離が指摘されるなど、信頼度に注意は必要ですが、地方の
GDP成長目標の変化の方向から、中央の2015年のGDP成長
目標にも低下が想定されます。
中国の構造改革は経済成長のドライバーを投資から消費へ
とシフトさせる方向ですが、山西省などのように投資の急激な
落ち込みは経済を急速に縮小させる懸念もあるため、対応策
も必要と思われます。仮に成長目標を引き下げるならば、全
人代でどのような経済対策が語られるかにも注目しています。
最後に、もう1点加えると、直接多くが言及されることはないか
もしれませんが、中国当局が海外の景気回復をどの程度見
込んでいるかにも注目しています。利上げ時期を模索する米
国の景気は底堅い上、ユーロ圏にも底打ちの兆しが見える上
に、人民元安傾向であることから中国の輸出は、当局の想定
以上に成長率の底上げに寄与する可能性もあると見ている
ためです。
図表1:中国GDPと固定資産投資の成長率の推移
(四半期、期間:2010年1-3月期~2014年10-12月期)
30
%
中国固定資産投資(農村を
除く )年初来前年比
中国GDP(前年同期比) 2014年
25
15.7%
20
2013年
19.6%
15
※中国GDP
2014年通期では7.4%増
10
5
10年3月
11年3月
12年3月
13年3月
14年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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