Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 南米 2015年12月22日 ブラジル財務相の退任で財政改革は元の木阿弥(もくあみ)か 経済不振や高インフレ率に加え、ルセフ大統領への弾劾裁判、投資適格格付けの喪失といった問題に対応を迫ら れているブラジル、レビ財務相の退任による財政政策の不透明感という新たな難題を抱えた格好です。 ブラジル市場:通貨レアル下落、国債利回り 上昇、財務相交代の懸念が尾を引く ブラジル市場では2015年12月21日に通貨レアルは対ドル で節目と見られていた1ドル=4レアルをあっさり割り込みま した。また、国債(グローバル債、ドル建、2025年1月7日償 還)利回りも上昇(価格は下落)しました(図表1参照)。下落 の主な背景は12月18日に公表されたレビ財務相の退任を 受け、後任に指名されたバルボザ企画・予算管理相はブラ ジルの財政赤字抑制に向けた取り組みにそれほど積極的 でないとの懸念が広がったことなどによります。 どこに注目すべきか: ブラジル財務相退任、緊縮財政、格付け (日次、期間:2014年12月22日~2015年12月21日) 8 % 7 6 ブラジル10年国債(左軸) ブラジルレアル(対ドル、右軸) 5 4 14年12月 レアル/ドル 29月S&Pブラ ジルを格下げ 15年3月 15年6月 4.5 4.0 安 レアル 高 ピクテ投信投資顧問株式会社 図表1:ブラジルレアル(対ドル)と10年国債利回りの推移 安 債券価格 高 経済不振や高インフレ率に加え、ルセフ大統領への弾劾裁 判、投資適格格付けの喪失といった問題に対応を迫られて いるブラジル、レビ財務相の退任による財政政策の不透明 感という新たな難題を抱えた格好です。 2015年1月に発足した第2次ルセフ政権の財務相として民間 金融機関から起用されたレビ氏は「シザーハンズ(映画の題 名:はさみの手の意)」の異名そのままに歳出削減と増税に よる財政規律の維持を重視してきました。しかしブラジル経 済が深刻な景気後退と高インフレに直面する中、レビ氏の緊 縮的な財政運営には与党内部でも反対が見られ、市場では 退任は時間の問題との見方もありました。 レビ氏はブラジルの格付けを維持するために緊縮財政を優 先してきたと思われます。しかしブラジルの格付けはスタン ダード&プアーズ(S&P)が9月に、フィッチ・レーティングスが 12月に投資不適格級へと、レビ氏退任の前に、格下げしてい ます。海外の投資家は格付け悪化により資金を引き上げる 恐れもあるだけに、投資適格を維持できなかったことがレビ 氏退任の背景との見方もあります。 ブラジルの債務に占める非居住者の割合は増加傾向です (図表2参照)。もっとも、割合は20%程度で他の新興国(例え ばメキシコは4割近い)に比べ相対的に低い水準ですが、それ でもブラジルの資金調達(例えばレアル建国債の非居住者保 有で)をサポートする有力な資金源と見られます。 レビ氏の後任に指名されたバルボサ氏、市場では財政赤字 抑制に消極的との見方が広がりブラジル債券、レアルが下落 しました。もっとも、本人が今後の財政政策を語る前に市場が 判断した動きとも見られ、足元の報道ではバルボサ財務相は 就任の記者会見で財政赤字抑制を約束しています。 レビ氏退任を受けた21日の債券やレアル下落は当然として、 はしゃいでも不思議でない株式市場まで下落したことが財政 状況の深刻さを物語っていると思われます。仕切り直しとなっ たブラジルの財政政策と市場への影響に注視が必要です。 3.5 3.0 2.5 15年9月 図表2:ブラジル債務非居住者保有割合の推移 (月次、期間:2007年12月~2015年10月) 21 % 15 ブラジル債務 非居住者保有比率 9 3 07年12月 09年12月 11年12月 13年12月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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